心理検査

心理検査とは、一定の理論や科学的手法にもとづいて作成されたさまざまな心理検査・テストのことをいいます。性格傾向や知的・発達段階、認知機能などについて客観的に測定、把握するために行われます。

心理検査の結果は、診断の補助のため、生活上の工夫を考えるため、心理相談(カウンセリング)の道筋をたてるため、などその方をより良く理解するために用いられます。

何のために心理検査を受けるのか

一般的に、よく3人の自分がいると言われています。「自分の知っている自分」、「他人の知っている自分」、「自分や他人も気が付いてない、知らない自分」と。心理学の知見により、人は意外と自分自身のことを知らないということが明らかになっています。それが「自分や他人も気が付いていない、知らない自分」の領域です。心理学でいうところの"無意識"です。

人は日常生活をおくる上で、多様な刺激を受けていろんなことを考え、判断し、行動しています。しかし我々は日常生活において、全てを意識して判断や行動はしていません(例えば、歩くとき、右足出して、止まって、次に左足を出してと意識して行動していません)。

細かなことをいちいち考えるとスムーズに動けないし、時間がかかってしまうため、脳は大部分の思考や感情を無意識に沈めて活動しています。この無意識の思考の一番わかりやすい例は、なんとなくひらめいた、思いついたといった直観というもので、どうしてそう思ったのかと聞かれても大概は答えられません。あるいは答えられたとしても後付けであることが多いでしょう。

同じように、何故だかわからないけれど、学校にいけない、外出したいと思っているのに、何故か外にでるのが怖い、電車にのると心臓がドキドキする、自分ではストレスの原因に思い当たらないが急に眠れなくなったということも、自分では分からない無意識領域で起こっていることが影響しています。

心理検査は「自分の知っている自分」「他人からみた自分」といった意識の分野のほかに、「自分や他人でも分からない自分」という無意識の分野を測定していきます。また、発達という面では、言語性や社会性、記憶力や認知機能等を客観的に把握することができます。つまり様々な角度から、自分自身のいろいろな側面を客観的に把握し、理解を深めていくことによって、困っている、悩んでいる事柄の改善に役立てていきます。

そのため、当室では、アセスメント面接(カウンセリングをご希望される方に、何が課題となっているか、カウンセリングがお役にたてるか等を考える面接)の過程で、自己理解を深めることやカウンセリングの導入に役立てることを目的に心理検査を活用しています。

心理検査の活用(いくつかの具体例)

当室では心理検査を受けられる方それぞれのニーズに合わせていくつかの心理検査を組み合わせていきます。その種類は数多くありますが、具体例として、以下のようなことを行っております。

発達障害の鑑別、うつ病の鑑別(注:診断は医療の領域になります)

□性格(意識・無意識領域も含めて)、現在のこころの状態の把握。

□復職が可能かの判断資料

□職業適性

□ストレスや外傷経験(親の死別、離婚、自然災害、対人ストレス)の影響について

□親子関係

□発達検査(成人の方やお子様の言語的発達、認知機能、社会的発達等を知ることができます)

心理検査のフィードバック‥

私たち人間は非常に複雑でデリケートです。私たちは心理検査にあらわれてくる検査数値と結果だけで判断はしません。

検査結果のみで「こうです」ということは難しいのはいうまでもありません。

そのため、今までの経緯や数回の面接(場合によっては初回面接と検査のみということもありますが)によって得られた情報(お子様の場合は、プレイルーム内での行動観察も含む)と心理検査の結果を複合的に組み合わせて理解し、検査を受けていただいた方の様々な側面を立体的に浮かび上がらせ、今後に役立ち、活かしていけるようにフィードバック(結果報告)をいたします。