生きづらさを感じる人‥

「生きづらさ」という言葉を聞いて、何を連想されますか?聞いたことはあるけど、自分には関係のないもの、または、心が病んでいる人の苦しみのこと?そう理解する人が多いかもしれません。

私たちが考える生きづらさとは、「生きる意味が分からない」「自分の価値が分からない」「自己肯定感が低い」「自分のことをすぐに卑下してしまう」「人のことが羨ましくて仕方ない」「愛情に飢えている」「自分には能力がないと思う」「いつも何かに悩んでいる」こういった考え方を持っている人が生きづらい人だと思います。

こういった認知の歪(考え方のクセ)を持って生活してれば、生きていく上での苦しみを生み出し、生きるのが辛くなってしまうのも当たり前です。まさに、生きづらさ以外の何物でもないと思います。私たちの周りを見渡してみると、こういった生きづらい思考が当たり前のようにはびこっていると思いませんか?

真面目で努力する人ほど心の苦しみは大きくなるものです。心を苦しめるような考え方は変えていかなければいけません。考え方が間違っているから心身に異常をきたし、苦しんでもがいているのです。そこから抜け出し楽になるための新しい考え方の土台をつくることが重要なのです。

繊細すぎてしんどい!

周りのみんなは普通に楽しそうに過ごしているのに、自分はものすごく疲れてしまう。それでも無理して周りに合わせて、笑顔を作りながら日々をなんとかやり過ごすのはとても辛いものです。

心は悲鳴を上げているのに具体的に困った事態になっているわけではなく、周囲を大いに困らせているわけでもないと、正体のわからない生きづらさに苦しみながらも、いつも通りの生活を強制されてストレスはどんどん溜まっていきます。

相談したくても、誰かに助けてほしくても、同じ環境にいる皆はごく普通に過ごしていると、「辛いと感じる自分がおかしいのでは?」「甘えているだけ?」と自分を責めてしまい、益々生きづらさを感じて負のスパイラルに陥ります。

こうなると、生きづらさから抜け出すのは困難です。あなたが少しでも楽になるために、何から始めれば良いのでしょうか? 

生きづらい人の特徴‥

「みんなはどうしてあんなに楽々と人生を渡っているんだろう‥」生きづらさを感じると、まるで自分に欠陥があるように感じて、余計に辛くなるかもしれません。

しかし、生きづらさは自分の思考や行動を少し変えるだけで、意外な程改善するケースもあります。楽な生き方を学んで心がけるだけで、あなたは今よりも生きづらさを感じずに済むかもしれません。ここで生きづらい人の性格的特徴を解説していきます。 


① 空気を読みすぎる‥

空気を読みすぎる人の特徴として、人や場の空気を読みすぎて必要以上に疲れてしまうようです。「自分はどうしたいのか」ではなく、「相手から自分がどう思われるのか」という他人の評価を気にして、無難にその場を凌ぐために神経をすり減らしています。

また、基本的には受け身であり、自分で何かを決断するよりも誰かの指示に従う方の方が気が楽だったりもします。ですが、不満や意見を言えずにストレスがたまりやすいです。


② 真面目で正義感が強すぎる‥

真面目で正義感が強すぎる人は、決められたルールや規律は絶対的なものであり、多少の融通もきかないので些細な逸脱も許せない事が多いです。

自分だけでなく、他の人に対しても同様で「なぜちゃんとルールを守らないのか」「ルールを破るなんて最低だ」と不平不満を抱きやすいです。

そのため、芸能人の不倫や犯罪者のニュースでも倫理に反した行いをしたことに対して軽蔑し、怒りの感情やストレスを感じやすいです。


③ 我慢強い・自己犠牲が当たり前‥

自己犠牲が当たり前と思っている人は、事なかれ主義で「自分さえ我慢すれば丸く収まる」という考え方により、自分の感情を蔑ろ(ながしろ)にしやすいのです。自分が何かを主張することによって相手に面倒に思われるのが嫌で、余計な軋轢(あつれき)がなく過ごすことを好みます。

相手の考えや気持ち、その場の空気が最優先で、自分の抱いた感情を伝えようとせずに我慢してしまうのです。

一方で、自分の意見や考えを抑えることでストレスが溜りやすく、「なぜ自分ばかり」と嘆く人も少なくありません。


④ 共感力がある・感受性が高い‥

共感力が強く、感受性が高い人は、「自分は自分、相手は相手」という境界線が薄く、相手からの影響を受けやすいのが特徴です。

周囲の人の感情を読み取り、深く共感することに長けていますが、相手の気持ちや考えに過剰に同調してしまい、自分の本音を見失ってしまう事があります。


⑤ 他人と比較する・ネガティブ思考‥

自己評価が低く、ネガティブ思考な人は、自己肯定感が低く、何事も「自分が悪い」と自分を責めたり追い詰めがちです。自信のなさから自分と他人を比較して「なぜみんなが出来ることが出来ないんだろう」「自分は周りより劣っているダメな人間だ」と自己否定してしまう傾向があります。

また、何かを新しく始めようとしてもネガティブ思考により悪い想像しかできず、身動きがとれなくなり、結果生きづらいと感じるのです。


⑥ 過敏に反応しやすい繊細さん‥

HSPと呼ばれる方は、その場の雰囲気や相手の感情、音・光・味・匂いなど外部からの刺激に対して敏感に反応しやすく、人混みが苦手だったり、慣れない環境では落ち着かずにストレスを受けて神経が疲れやすいです。

また、些細な出来事に対しても不安を強く感じやすいため、日頃から細部にも気を配りながら生活しています。もともと生まれ持った性質として心配性であったり、不安症であったりするため、他の人から「気にすることないよ」と言われても気になってしまいます。


⑦ 完璧でないと気が済まない‥

完璧主義な人は、「白か黒か、0か100か」の両極端な思考で中間のグレーゾーンがありません。そのため視野が狭くなりがちで、窮屈な考えにとらわれがちです。

合格ラインを超えていたとしても100点満点でなければ、不足している部分に注目し、「ダメだった」と自己嫌悪することもあります。

また、他人に対しても許容範囲が狭く不満や疑念を感じる場合もあります。理想がとても高く、現実とのギャップから不満やストレスが生じやすいです。


⑧ 心を開かない、疑い深い‥

疑り深い人は、自分に厳しく、他人に対しても厳しい一面もあるためなかなか人を信用できず、人を頼ることが苦手です。

相手の良心や親切心などの善意を簡単には受け入れられず、助けてほしくても「誰かに頼るくらいなら無理やり自分で何とかする」「こんなことで甘えるなんて、周りからどう思われるかわからない」と意地を張ってしまいます。人を信じられない分、本当の自分をさらけ出せずに孤立しやすいです。


⑨ 他人を許せない‥

自分が大変な時にお世話してあげた人から嫌なことを言われたり、仕打ちをされたり、優しさの感じられない態度をとられたりすると、とても嫌な気持ちになります。

そのような出来事があると、相手に恨みや憎しみなどのネガティブな感情を抱き「あの人、最低!」「性格が悪すぎ!」など、心の中で何度も言ってしまいます。場合によっては友人に愚痴こぼししてしまうこともあるでしょう。その典型としてあげられるのが、「性格の不一致」による離婚です。

しかし他人への憎しみや怒り、不安は、どれほど自分で呟いても相手に直接聞こえるものではないのです。人を許すことができないのは、いつまでもネガティブな思いを捨てきれない自分がいるためで、相手を不快に感じ続けるだけで出口がどこにもない状態です。そのままでは自然と自分の態度も悪くなり、結果的に許せない相手と同類になってしまうリスクもあります。

他人を許すということは、自分を許すということです。とても素晴らしいことですが、決して簡単ではありません。でも自分に合った他人の許し方や解釈方法はあるはずなので、人間関係が辛くなった時は、まずは自分の気持ちを許すことから始めてみませんか。


⑩ イレギュラーに弱い‥

ストレス値が高くなると生きづらさにつながります。生きづらい人はイレギュラーに弱く、日常に溢れる小さな変化やちょっとしたトラブルに対して、大きく動揺しストレスを溜めていきます。

例えば、天気予報が外れる、電車のダイヤが乱れる、仕事やプライベートでドタキャンされる、急に誘われる、誰しも経験するイレギュラーです。イレギラーに弱い人は「ま、いいか‥」で流すことができず、いちいちストレスに感じてしまいます。

イレギュラーな事態に弱い人は、マイルールに固執し、自分の中の縛りが強くなってしまう人といえるでしょう。



生きづらさの原因‥

生きづらいと感じる人に対して「それは弱者の甘えだ」という意見を持つ人もいます。果たして本当にそうでしょうか?生まれ育った環境やもともとの性質、考え方の癖など理由は様々あります。決して「甘え」ではありません。

生きづらさの原因は、その人の「性質」「考え方のクセ」にあることが多いようです。ここでは、苦しくてしんどいと感じる人によくある7つの原因をお話します。


① アダルトチルドレン(AC)‥

アダルトチルドレンとは、幼少時期に子供が親からの愛情を感じられないまま大人になった人を意味します。

虐待やネグレクト、兄弟間での比較や差別、両親の離婚などさまざまな家庭環境の問題によって心に傷を抱え、人の顔色を伺って行動したり、人との信頼関係が上手く築けない場合があります。

社会生活ではなんとか部分的に適応することはできますが、常に人に対して過度に緊張しているため精神的に疲労しやすいです。


② 感受性が強い・繊細‥

生まれ持った性質としてHSPという、周囲の刺激に敏感な繊細な気質を持つ人がいます。

五感以外にも人の感情や場の雰囲気を敏感に感じ取ってしまい、相手からの些細な一言に深く傷ついてしまったり、悩んでいる人の感情に対して過度に同調してしまい自分も落ち込んでしまったり等、周りの刺激に翻弄されやすく疲れやすいです。

HSPではない人の割合の方が多いため、自分の感覚と周囲の環境の差が生きづらいと感じる要因になります。


③ 不適切な環境にいる‥

学校や習い事、職場などでのいじめ、ハラスメント、過剰な量の課題や仕事を求められるなど、問題のある環境に身を置いていると、自信喪失や抑うつ、体調不良といった症状が出てくることがあります。

環境自体には問題がなくても、自分に合わない雰囲気や職種の中にいる場合も同じように、生きづらいと感じるようになることもあります。生まれ持った性質としてHSPという、周囲の刺激に敏感な繊細な気質を持つ人がいます。


④ 発達障害など障害や病気‥

大人の発達障害として有名なのは主に2つあります。1つは自閉スペクトラム(ASD)、2つ目つがADHD(注意欠如・多動症)です。

それぞれの発達の特性や認知機能の特性に偏りがあることで、周囲の人間関係に馴染めなかったり、社会生活に支障をきたしています。

知的には保たれていて、大人になるまで発達障害であることを自覚していない場合もあります。環境に適応できず失敗体験を積み重ね、自己評価が著しく下がっていることが多いです。


⑤ 愛着障害‥

通常私たちは、乳幼児期に養育者と愛着形成します。子供が泣いて親がオムツ替えや授乳を行うことで、子供の要求は満たされ、親子間で信頼関係が築かれます。

その愛着を発達の土台として感情・認知・行動・社会性などが育まれます。

愛着形成が出来ていないと、成長してから人との距離感がわからず人と距離を置きすぎたり、逆に馴れ馴れしい態度になってしまったり人間関係や社会生活に支障をきたします。何をしても楽しめず、常に心が不安定です。


⑥ 考え方のクセ‥

これまでの人間関係や人生経験、根底にある自己肯定感の低さから、相手から自分への評価を過度に解釈してしまう癖がついている場合もあります。

例えば、自分が声をかけた相手から反応がなかった場合に「自分が嫌われているから」と大げさに捉えることを過大解釈といい、人から褒められたことについて謙遜したり恐縮してしまう場合は過小評価といいます。

いずれも事実と異なり、自身への否定的価値観を増長させる点で生きづらい原因となります。生まれ持った性質としてHSPという、周囲の刺激に敏感な繊細な気質を持つ人がいます。


⑦ トラウマ‥

人とのコミュニケーションが苦手、何をしていても孤立感や不安がつきまとう。日常生活の中でこうした生きづらさを抱えている人が少なくありません。理由も分からない心の重苦しさの正体は、あなたの性格が問題なのではなく「トラウマ症状」である可能性があります。

そのひとつに、「複雑性PTSD」というトラウマ症状があります。複雑性PTSDは、うつ、慢性疲労、倦怠感、無気力といった心身の不調となって現れます。

しかし、うつ病、発達障害、統合失調症、双極性障害、HSP(敏感すぎる)などと似た症状が現れることがあり、心理テストをするとたいていの項目に当てはまってしまうため、誤った病名で自分にラベリングをしてしまったり、病院で誤診されてしまったりする危険性もあり、とても人に理解されづらい症状です。


心の足りないピースを埋める‥

心を平衡に戻すための力のことを、近年では「レジリエンス」と呼びます。その力は、生まれたときの能力とは関係なく、自力で身につけられる能力だということがわかっています。そのための10個の方法が次です。 


① あたたかい関係を築くこと。

② 問題を克服できないと思わないこと。

③ 変えられることと変えられないことがあると受容すること。

④ 現実的な目標を立てて進んでいくこと。

⑤ 自分で決断をすること。

⑥ 失敗してもそこから学ぼうとすること。

⑦ 前向きな考え方を自分で賞賛すること。

⑧ 長期的な視野が持てること。

⑨ 希望を抱き続けること。

⑩ 自分をいたわってあげること。


といっても、これらを完璧に満たす必要などありません。この中から「感情的な私」が欲しがっているものを選び、「理性的な私」が与える」というスタンスが大事です。

人間の脳というものは、いわばとても精巧につくられたコンピューターで、不足しているものに信号を出すようにできています。水が足りなければ喉が渇き、暑ければ汗をかき、孤独感をなくすために人肌恋しくさせたりします。

自分を知り、足りないピースを埋めることが、心に平穏を呼ぶ行為なのだということを、まずは心に留め置いてください。

生きづらいと感じる人はどうしたらいいの?

生きづらさに苦しんでいる人は、その人なりに試行錯誤や努力をしてきた経緯があり、それでも状況が変わらないために生きづらさを感じるに至ると考えると、決して甘えているわけではないことがお分かりいただけるかと思います。

生きづらいという感覚を軽減するための方法はいろいろありますので、やりやすいものから試してみてください。どうしたら生きづらさを軽減していけるのか、その方法をいくつか下記にまとめましたのでご紹介します。


① 自分の考え方の癖を知る‥

無理なく生きづらさを解消する方法の1つ目 は‥ 今の環境でもっと頑張らないといけないのではないか、逃げるのは悪いことなのではないかと思えて、なかなか環境を変えられない人も多いかと思います。しかし、辛い環境に身を置いてきた時点で、すでにじゅうぶん頑張っているという見方もできますし、苦しい場所から逃げるのは何も悪いことではありません。

にもかかわらず、それが悪いことのように思えてしまうとしたら、それは客観的現実とは違う捉え方をしているということで、生きづらさに繋がる考え方の癖とも言えます。真面目過ぎる人、繊細過ぎて過剰に人の期待に応えなくてはと思ってしまう人によく見られる傾向です。

このように、自分を辛くさせてしまうような考え方の癖を自覚することで、より自分を楽にさせる別の考え方や行動が見えてくるはずです。


② 自分自身の理解を深める‥

無理なく生きづらさを解消する方法の2つ目は‥ 自分自身の理解を深めること。自分の強みや弱み、大切にしている価値観、どう在りたいのかなど、本来の自分自身の気質を把握することが大事です。

自分自身の理解を深めることで、何をしていれば幸せなのか、価値が高まるかを理解できるようになります。要は、自分はどのような人間なのか、その解像度を高めるということです。

自分自身の理解を深めることで、他人の影響を受けにくくなり、より自分らしい生き方ができるようになります。生きづらさを感じる原因を根本から解消するためにも、まずは自分自身を見つめ直しましょう。


③ 居場所・環境を変える‥

無理なく生きづらさを解消する方法の3つ目は‥ 自宅や会社以外の自分の居場所、環境を変えることです。日々のストレスから解放され、自分自身を取り戻せるため、生きづらさを解消するにはもってこいの方法。

具体的には、好きな本を読むための静かな図書館や、趣味に集中できる場所、あるいは気心知れた友人と楽しく会話ができるカフェなどです。自分と同じ価値観を持つ人たちとつながることが大切です。「私は私のままでいい」と思えます。

趣味のコミュニティ、勉強会、ボランティア活動、その他の社外活動を通じて出逢えます。生きづらさが軽減できます。


④ 無理に周りに馴染もうとしない‥

無理なく生きづらさを解消する4つ目の方法は‥ 無理に周りに馴染もうとしないことです。日本は特に集団意識が高いため、馴染まないといけないみたいな風潮があります。日本経済が右肩上がりのときはそれでも良かったのですけれど、今後はそうはいかないでしょう。

人と違うことを考え、人と違うことのできる人材になり自分自身の価値を高めなければむずかしい。そのためには、価値を感じてくれる人のいる場所に移動することです。


⑤ 自分と他人は違うことを意識する‥

無理なく生きづらさを解消する5つ目の方法は ‥ 人の顔色をうかがってしまったり、きっと悪く思われているに違いないと感じてどうしたらいいか分からなくなってしまったりするのも、生きづらさを感じやすい人の特徴のひとつです。

他人の気持ちや捉え方はその人のものですが、そこに過剰に自分の憶測を踏み込ませてしまっているという意味で、他人と自分の境界線があいまいになっている状態とも言えます。

人の考えていることは本人から言われない限り分からない、という客観的な認識に留め、過剰に自分にとって苦しい方向に想像を膨らませないようにすることで、自他の境界線を明確にしていき、生きづらさを軽減していくことができます。


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