父親が嫌い・ムカつく‥

母親に対する感情は、発達心理の観点からも重要視されてきましたが、父親に対する感情についての研究は実は近年になって進んできています。

父親が嫌いという家庭に多く見られるのが、母親が父親のことを嫌っていたり、夫婦喧嘩ばかりしていたりという夫婦仲の悪さがあります。特に、女性は母親から父親への愚痴を聞かされやすく、父親のことを嫌いになりやすいようです。

中には、過干渉・過保護、暴力・暴言、モラハラなどあからさまな理由がある場合も考えられます。それでも「父親が嫌い」ということに対して罪悪感を抱いてしまって、自分自身を責めてしまうというケースも見受けられます。

〇 父親が嫌いな自分は優しさがないのだろうか‥

〇 理由はないものの父親がうざいと感じ、一緒にいるのが辛い‥

このようなことでお悩みではないですか?

父親とはいえ、他人である以上すべてを分かり合うことは難しく、嫌いという感情は不自然なことではありません。できれば父親のことを嫌いと思いたくない、これといった理由がなく父親が嫌いという場合には、父親との関わり方を見つめ直して、客観的な視点と照らし合わせてみましょう。

また、小さい頃から父親に対しての強い嫌悪感を持っている場合、対人関係に対する考え方や姿勢にも、少なからず影響を与えている可能性があります。

「父親とどう接したらいいか」「自分が行動を変えるべきところがあるかどうか」について、カウンセラーと一緒に考えていきませんか?

父親への反感の根底にあるもの

父親に対してネガティブな感情を持つ人々に幼少期の父親との関係について聞くと、「支配的で、いつも上から物を言っていた」「自分への否定的な見方をしていると感じさせる」「アルコールを好み、そのせいで暴力を振るわれた」といった声が挙がります。

こうした父親に対する反感は、一般的に支配的な振る舞いや身体的な暴力が原因であることが多いようです。青春期に親に反抗するのは、息子であれ娘であれ、よくあることです。

息子は父親への尊敬の念と反発心の両方を抱くことがありますし、娘は父親の男性としての側面に距離を置くようになることがあります。これらは全て成長の過程で自然に起こる現象であり、必ずしもネガティブな感情へと直結するわけではありません。 

父親に対して否定的感情を持つ人‥

父親に対して否定的な見方をする人には、いくつかの共通点が見られます。これらの特徴が全ての人に当てはまるわけではありませんが、一定の傾向として知っておくと役に立つでしょう。 



① 支配的な態度と見下す傾向‥

家庭で母親や子どもに対して威圧的な態度をとる父親のもとで育った子どもは、社会に対しても同様に高圧的な振る舞いをするようになります。

父親は子どもにとって道徳や社会的な行動の手本です。そのため、父親の振る舞いを無意識に真似ることがあります。 


② 常に感じる緊張と不満‥

職場のストレスや問題を家庭に持ち帰る父親のもとで育つと、子どももずっと緊張感や不満を感じ続けることになります。

子どもにとって親は最初の手本ですから、いつも心配事やイライラを見せる親の姿を見て育つと、自然と同じような性格を発達させることがあります。 


③ 子どもの接し方に迷う‥

仕事に集中し、家族との関わりを二の次にする父親から育った子どもは、親子間の適切なコミュニケーションを学ぶ機会が少なく、自分の子どもや他の人の子どもにどう接していいのかわからなくなることがあります。

子どもは親の接し方を見て学ぶため、正しい接し方を教わらないと、育児においても同様の困難に直面する可能性があります。


④ 承認欲求の強さ‥

特に息子にとっては、父親からの承認が大きな喜びとなります。母親は努力をすぐに認めてくれることが多いですが、父親は成果をより重視する傾向にあります。

父親から適切な評価を得られない経験が重なると、大人になった際に「認められたい‥」「目立ちたい‥」「褒められたい‥」という強い承認欲求を抱くようになります。 


父親との関係改善のためのアプローチ‥

父親との関係がうまくいかないことはありますが、親子の絆はそう簡単には切れません。
可能な限り、互いに満足できる関係を築いていきたいものです。では、難しい父親とどのように向き合い、関係を良好にしていくことができるでしょうか? 



① 不和の理由を深掘りする‥

父親と顔を合わせるたびに衝突が起き、互いの話を聞くのが難しい時があります。そんな時は、自分の考えを整理して、冷静になることが大切です。父親との関係がうまくいかない原因や、受け入れがたい父親の行動や性格を書き出してみましょう。

形式に拘らず、最近の不和の原因や苦手と感じる父親の特徴をリストアップし、冷静に分析することで、問題の本質が見えてきます。この分析をもとに、父親と話し合いを持ったり、自分で解決策を見つけたりして、徐々に関係を修復していくことができます。 


② 距離を置いてみる‥

同じ屋根の下で生活していると、小さな衝突も避けられないものです。しかし、激しい衝突や深いわだかまりがある場合、同じ空間にいるだけでストレスがたまり、イライラすることがあります。

そのような時は、一時的でも引っ越しを考え、物理的に距離を置くことが良いでしょう。
距離を置くことで、相手の立場や感情を理解する新たな機会が生まれます。このようにして、お互いの理解を深め、関係を少しずつでも良くしていくことが可能です。 


③ 反面教師として学ぶ‥

父親が支配的な態度、暴力、アルコールやギャンブル依存、家族とのコミュニケーション不足などの問題を抱えていて、それが嫌悪感の原因となっている場合、「自分はそうならない」という反面教師としての価値があります。

息子や娘はそれぞれ、父親に頼りがいのある存在、甘えられる存在でいてほしいと望んでいますが、現実がそうでない時、その受け入れは非常に難しいです。そうした辛い経験を、自分や未来の世代が繰り返さないよう、人生の教訓として活かしましょう。 


④ 父親もただの人間である‥

職場での重圧や責任が父親にストレスをもたらし、そのせいで時々感情的になったり、家族に対して適切でない態度を示すことがあります。ストレスが原因で不機嫌になることもあるでしょう。

私たちが尊敬し、頼る父親も、決して完璧ではない普通の人間です。間違いを犯したり、悩んだり、判断を誤ることもあります。大人になり、社会で働くようになれば、かつて父親が直面していた状況や感情をより深く理解できるようになることがあります。 


父親が嫌いすぎてムカつくという人へ‥

愛情を表現するのが苦手な男性、特に父親は、母親のようには簡単に愛情を見せられないことが多く、そのために時々冷たく見えたり、無関心に見えることがあります。

しかし、父親を「恥ずかしがり屋で不器用な人」として捉え直せば、彼らの行動をより肯定的な視点で見ることができるかもしれません。

大切なポイントをまとめると、以下のようになります。

〇 不仲の原因を掘り下げ、自分自身を見つめ直す

〇 必要なら距離を置いて、お互いの気持ちを理解する

〇 父親の行動を教訓として、自分を成長させる

〇 父親も完璧ではなく、ただの人間であると受け入れる

これらのステップを踏むことで、父親との関係を見直し、理解と尊重を基盤にした健康的な親子関係の構築が可能です。