心が疲れない人・心が疲れやすい人‥
「職場のことで、なんだかいつもストレスを感じる‥」「仕事中、ちょっとしたことで気疲れしてしまう‥」こんな人は多いのではないでしょうか?
心が疲れやすいと感じている人は、「実はやらないほうがいい考え方」 の習慣が身についてしまっているかもしれません。心が疲れない人は、そうした考え方をしないからこそ、気持ちよく仕事に励めるのです。
ここでは、「心が疲れない人」が「やらない」習慣についてご紹介します。気分を楽にするため、ぜひ参考にしてみてください。
心が疲れない人は「理想を追いすぎない」‥
高い目標に向けて頑張るけれど、達成できないと、落ち込んだりモチベーションが下がったりしてしまう。これに当てはまるなら、あなたは「完璧を目指さなければいけない」「人と比べて優れていなければいけない」という考えにとらわれすぎているのかもしれません。つい頑張りすぎてしまう人は、もう少し低い目標を設定してみることをおすすめします
メンタルを強く保つ方法として、私は、要求水準を低したほうがいいとお話しています。「そこまでやらないといけないの?」「そこまでやらないと会社が潰れる?」など、自分自身に向けて「少し極端な問いかけ」をしてみてください。
たとえば営業職の場合、もともと目標としていた成約件数を達成できない月が続き、落ち込むこともあるでしょう。そんなときは、達成できているものや手に入れているものに目を向けるようにしましょう。「先月より多くお客さま先を訪問できた」など、現実的に達成できている内容もあるはずです。
忘れてはならないのは、自分の動ける範囲で「幸福」「納得」を得ることなのです。自分のキャパを飛び越えて、「もっと〇〇必要だ」とか「今以上に〇〇をしなければ」などと考えてストレスを溜めてしまうのは、正しい考え方とはいえません。
まずは自分の1日の時間をどう生かすか、どれだけ「快」、つまり楽しさや充実感を大切にして、不快を溜めこまない工夫をするかを考える。1日1日を快く生きていくことに集中することです。
できなかった物事への執着をやめれば自己肯定感が上がり、自分の思い通りにならないことに対するストレスを減らすことができますよ。いつしか、心の疲れは軽くなっていくはずです。
対処できないことで悩まない‥
日々の業務において、手に負えない問題に直面することもあるはずです。自分ではどうにもできないことまで「なんとかしなくては‥」と思ってしまってはいませんか?
努力でどうにもできないことで悩んでも、心が疲れてしまうだけです。自分で対処できない悩みに関しては思いきって諦めて、対処できることに注力することが大事です。
セールスフォースなどを顧客にもち、職場環境改善に携わるコンサルタントのリズ・フォスリエン氏と、IDEOの組織デザイナーを経験したモリー・ウェスト・ダフィー氏は、共同著書『のびのび働く技術』のなかで次のように述べています。
自分ではどうにもできない要素までなんとかしなくてはと思ってしまうと、「よし、できるだけのことはした」と納得して肩の荷を下ろせるときは永遠にきません。
(引用元:東洋経済オンライン|仕事中「なぜか機嫌がいい人」がしていないこと)
そうはいっても、自分に対処可能かどうかの判断さえつかない人も少なくないでしょう。
心理学者のニック・ウィグノール氏は、次の方法で、気になっている事柄からコントロール可能なものを抽出・整理しているそうです。
「毎日、5分から15分かけて、気になっている件を全部書き出」し、それを「3つのカテゴリーにわけ」る。
「仮定に基づく心配ごとではない、実行可能な件」
(例:承認待ち書類の返事が来ない、会議資料のフィードバックをもらう必要があるなど)
「今日か明日じゅうに片づけるべき急ぎの件」
(例:クライアントへの見積書提出など)
「自分でなんとかできる件」
(例:返信をしていないメールがあるなど)
各項目を解消するために次にとるアクションを設定する。
(例:今日15時に見積書作成し、明朝9時にメールを送るなど)
公私にかかわらずすべての事柄を書き出してみたところ、気がかりだった内容が可視化され、頭がすっきりするのを感じました。
特に効果を実感したのは、「急ぎでない(期限の決まっていない)内容」についてです。私は普段、期日がないタスクはつい後回しにしてしまいがちです。いつまでもタスクが残り続け、ストレスを感じることがよくありました。ですがこの手法では「解決に必要なアクション」まで決めるため、解決日が設定されてストレスが軽減しました。
また、悩みの原因を明文化できるという効果も感じました。「なんとなくモヤモヤしているけど、理由はわからない‥」ということはよくあるものです。ですが実際に書き出してみると、"モヤモヤしているのは、先延ばしにしているあの手続きが気になっていたからなんだ" とはっきりと自覚できたのです。
いろいろなことを抱え込みすぎて疲れてしまう人は、ぜひ試してみてください。
悩みを無理に避けようとしてはいけない‥
自分の悩みについて、できるだけ考えないようにしていませんか? 私たちはしばしば、悩みや問題から無理に目を背けてしまいがちです。しかし、まずは自分が抱いているネガティブな感情を認めることも重要なのことです。
「嫌いだ」「許せない」と感じることがあるのは、人間としてごく自然なこと。ネガティブな感情を抱くのはよくないことだなどと思わず、自分の感情を受け止めましょう。
たとえば、職場で同僚に嫌味を言われたり、上司に理不尽な態度をとられたりしたとき、怒りや悲しみの気持ちを抱くのは当然のことです。「負の感情があるのは人間として当たり前」と認識して、「ネガティブな気持ちを抱いてはいけない」という考えは手放すべきです。
また、「考えたくないのに、頭に浮かんできてしまう」ということがよく起きるように、考えてはいけないという強い気持ちは逆効果をもたらしてしまいます。心理学者ガイ・ウィンチ氏が紹介する、以下の実験を知っている人も多いかもしれませんね。
「今から5分間、シロクマのことを考えないでください」というテキサス州で行われた有名な実験があります。その結果、多くの人が何度もシロクマを思い浮かべたことを自己申告しました。(引用元:東洋経済オンライン|折れない人が実践する「嫌な妄想」を絶つ方法)
では、悩みが浮かんできたときはどうすればいいのでしょう? ウィンチ氏は、「考えない努力をするのではなく、別のことを考える」のが効果的だと話しています。
たとえば、事前に「気分転換の方法」を書き出し、「短い時間でできるもの」と、「長い時間没頭するもの」のリストを作成。そして悩みが浮かんだら、「リストを確認して気分転換を試してみる」のを習慣にするといいそうです。(カギカッコ内引用元:同上)
私も、実際に「気分転換できる行動のリスト」を書いて持ち歩いてみました。以前は悩みが浮かぶたび、「考えてはいけない」と思いつつもそのまま考え込んでいました。しかし、「リストがある」と意識することで、無理に悩みから目を背けることなく、すぐさま気分転換を実行できました。
自分なりに気持ちを切り替える手段をもっている人も多いと思いますが、リスト化までしている人は少ないのではないでしょうか。私は、実際にリストをつくって持ち歩くことで、気分転換へ意識が向きやすくなり、悩む時間が短くなるのを実感しました。心が疲れやすい人は、ぜひ試してみてぃださい。
「心が疲れやすい‥」「もっと快適に過ごしたい‥」と感じている人は、ぜひ実践して、穏やかな心を手に入れてください。