トラウマを克服する‥

愛媛心理相談室では、災害・事件・事件・性被害など、突発的危機(予期せぬ出来事)によるトラウマやPTSD、喪失と生きづらさを抱えた方へのカウンセリングを行っています。

私たちは人生の中で、災害、事故、事件、いじめ、ドメスティック・バイオレンス、大切な人を突然失うなどの予測しない出来事に遭遇してしまうことがあります。出来事そのものによるストレスだけでトラウマとなる可能性があります。

それに加えて出来事によって引き起こされた喪失もトレスとして積み重なります。家や家財など、健康な身体、大切な人を失ってしまうこともあります。老衰や病気など予期されるものより、予期していなかった事故や災害、人の死は、心の準備もできないためショックは大きく、受け入れることは困難となります。

また、目には見えづらい喪失もあります。私たちは、今日と変わらない毎日が続いていくことを当たり前のように思い、安心して生活をしているはずです。明日どうなるか分からないということは頭ではわかっていても、心の中では常に明日のことを不安に思って暮らしているのです。予期せぬ出来事はこの基本的な安心感を揺るがしてしまいます。

トラウマ体験以前に持っていた自己イメージ、例えば健康であるとか、自然体で生きるというセルフイメージを失ってしまうこともあります。人的被害の場合や、その後適切なサポートが得られなかったことにより、社会への信頼を失い、人が怖くなり、常に過剰に警戒し、人とつながることを避けてしまようになることもあります。思い描いていた未来が崩れ、希望が持てなくなることもあるでしょう。私は神にまで見捨てられた、と思うことさえあるでしょう。

自分には責任がないはずなのに、自責の念にとらわれ、自分に対する信頼を失ってしまうことも少なくありません。また、トラウマ体験をきっかけとする症状などにより日常生活が困難になり、通常の生活に戻れないことを、自分の弱さであると責め、無力感を強めてしまうこともあります。

ストレスが雪だるま式に積み重なり、周りからのサポートが得られない中で、個人的要因ではないトラウマ体験がいつの間にか自分の問題、自分の責任になってしまう生きづらさを抱えがちです。

私たちは、様々なトラウマのある人たちと出会ってきました。過酷な状況の中で、時に絶望の縁を歩きながら、様々な症状を抱えつつ、それでも生き延びてきた人たち。そんな人たちと、カウンセリングの時間を共有させていただく中で、回復していくその姿に、その逞しさ、力、強さに驚かされることもしばしばあります。人にはどんな困難な状況に遭遇しようとも生き抜こうとする力が備わっていると私は思います。

※ トラウマとは、トラウマ体験で負った心の傷(心的外傷)です。トラウマとPTSDのきっかけや症状に大きな違いはありません。トラウマとPTSDの違いは、トラウマは治りますが、PTSDは症状から抜け出せずに後遺症として残ってしまう点です。

トラウマとは?PTSDとは?

トラウマとPTSDについて、それぞれの定義と両者の違いから見ていきましょう。

□ トラウマとは心的外傷のことです

トラウマを日本語にすると「心的外傷」です。つまり、何らかの体験によって心に傷を負い、それによって心身が充分機能できなくなっている状態です。元々の性格や本人の捉え方の問題ではなく、過去の体験によって受けた心的外傷を「トラウマ」と呼びます。

また、トラウマを負った出来事や体験を「トラウマ体験」といいます。トラウマ体験は、時間が経ってもフラッシュバックとして蘇り、不眠や不安感などの症状を引き起こすことがあります。

通常は数日~数週間で自然に治りますが、1カ月以上症状が続く場合は、PTSDの可能性があります。

こんな症状があったらトラウマかもしれません‥

災害や事故、犯罪被害などで強い恐怖を経験後、1ヶ月以上の長い期間にわたって、物音に過敏になってドキドキしたり、逆に、現実感が無くなって感情が麻痺したり、事件を思い出させるものに近寄れなくなるという症状が揃うと、PTSDという診断がつきます。

強烈な恐怖体験の後はPTSDだけではなく、うつ病・不安障害、外出恐怖など、様々な形で精神のバランスが崩れていきます。

□ 眠れない、悪夢を繰り返し見る 

□ 感情の激しいアップダウンがある

□ いつも緊張して力が入っている 

□ 感情や感覚が麻痺しているように感じる

□ 現実感がなく映像のように感じられる

□ 恐怖が強くて日常生活が送れない(外出できない,人に会えない)

□ 見えない枠がはまっているように感じる

□ 自分は孤立して世界に一人だと感じる

トラウマのきっかけとなる出来事とは?

トラウマのきっかけとなるのは、「非日常的な出来事」と「日常的に繰り返されてきた出来事」です。それぞれ具体例を見てみましょう。 


非日常的な出来事‥

・自動車事故

・性的暴行

・暴力的な犯罪

・火災

・自然災害

・生命に関わる病気や負傷

自分が体験するだけでなく、ほかの人がそういう体験をしているのを見聞きしたり、テレビ等で見たりしたときにもトラウマになりえます。


□ 日常的に繰り返されてきた出来事‥

・虐待(身体的・心理的・性的)

・パートナーからのDV

・ネグレクトや育児放棄

・いじめや差別など持続的なストレス

日常的に繰り返される体験では、心への傷が積み重なり、後でご紹介する「複雑性PTSD」や「発達性トラウマ」のような複雑な影響を与えます。


① フラッシュバック(再体験)‥

再体験とは、トラウマを体験したときの生々しい記憶が蘇ることを指します。具体的には次のような反応です。

□ トラウマ体験の記憶が蘇る

□ トラウマ体験の夢を繰り返し見る

□ 体験がフラッシュバックする

トラウマ体験を思い出したときに精神的・身体的苦痛を感じるなどがあります。


② 回避、麻痺‥

回避とは、トラウマに関連するものを避けることを指します。具体的には次のような反応です。

□ ポジティブな感情が感じられない状態が持続する

□ 現実感が変化している

□ トラウマ体験の核心的な部分についての記憶を失っている

□ トラウマに関連する記憶・思考・感情を避ける

□トラウマに関連する人・場所・状況などを避ける

これらの難しいところは、客観的に見るとトラウマと関連のない状況にいても、なお苦しみが続くことです。その背景には「恐怖条件づけ」があります。


③ 否定的感情と認知‥

自分や他人、世間に対して過剰に否定的な感情が浮かんできます。

□ どうせ私が悪いんだ‥

□ 誰も信用できない‥

□ こんな思いにさせる世の中が悪い‥

□ 友だちも私のことを嫌っているはず‥

こういった負の感情に陥ってしまう時間が長く、何事にもやる気が起きなくなったり、強い孤独感を感じてしまうことがあります。


④ 過覚醒‥

過覚醒とは、いつでも危機に直面しているときのように心身が緊張・興奮していることを指します。具体的には次のような反応です。

□ 睡眠障害
□ イライラしやすく、怒りが爆発してしまう
□ 危険の可能性に対して過剰に注意を向ける
□ 集中力が保ちにくい
□ 大きな音、突然の動き、その他の刺激に対して過剰に反応する


トラウマ Q&A‥

トラウマはどんなときに生じますか? 

トラウマはいつでも誰にでも生じる可能があります。

・ドメスティックバイオレンス〈言葉の暴力性〉

・親しい方との死別

・交通事故に遭う・交通事故を目撃する

・パワハラ・セクハラ・モラハラ(不均衡な人間関係)

・性的暴行の場合も

事故や自然災害のように平穏な日常に突然の一撃のように降りかかってくるものや、家庭や職場での継続的な人間関係から生じることもあります。

トラウマとストレスはどう違うのですか? 

ストレスも負担の強い出来事に遭遇したときに感じる心の重荷ですが、過ぎ去ると少しずつ軽くなり、最後には何も残さずに消えていきます。

ところがトラウマはその出来事が過ぎ去って長い時間 ―時に何十年― が経過しても、心に深い爪痕を残し,長く心身から生きいる力を奪っていきます。

どうしてトラウマ治療をした方がいいのですか? 

トラウマの束縛から解放され、自分の人生を取り戻して生きられるようになるからです。トラウマ治療で過去を過去にすることが可能になり、前へ進む勇気が得られます。 

どのようなときにトラウマカウンセリング受けた方いいのでしょうか? 

過去のトラウマが回り込むようにして行く手をはばむようになるとトラウマを扱う時です。人はみな、大なり小なり何らかのものをかかえながら生きています。トラウマにきゅっとフタをして、日常生活が過ごせるようであれば置いておいても問題ありません。

しかし、何かのきっかけでその閉めたはずのフタが開いてトラウマが立ち上ってくるときは、注意が必要です。きつくフタを閉めようとしても吹き出てくるようになり、―さらに強い力で閉めると、もっと強く噴出する-そういったことを繰り返していると消耗し日常生活にも悪影響が出てくるので、きちんと取り扱う必要があります。

トラウマカウンセリングとはどのようなものなのでしょうか?

愛媛心理相談室では臨床経験豊かなカウンセラーが心理療法を行います。

回復を導くトラウマ治療技法にはいくつかあり、それぞれに特徴がありますが、根底に横たわる概念には共通した要素があります。いきなりトラウマに触れることはありませんのでご安心ください。

①準備 :人生の聞き取り、自身に備わっている回復力の探索とその強化、リラクゼーション技法の習得、

②トラウマ処理:トラウマそのものの治療、傷の回復

③クロージング:再び起こらないように予防・自分の未来イメージを作る

どのような症状があるのか、これまでどのような人生を歩まれたのかをききとりながら、自身の持っている回復力や回復を支える考え方を探して、それを増幅して、安全な感覚を模造服させる丁寧に準備をした上でトラウマの処理を行います。

眠れない、不安、イライラなどの症状に対しては症状を和らげるためにお薬を用いることをおすすめするともあります。

つらい出来事、トラウマから立ち直れず、さまざまな症状に苦しめられていませんか?トラウマとは、心が傷ついた状態、その体験のことを言います。

PTSDを発症すると感情のコントロールが困難になったり、回避行動を取るといった症状が出ます。では次に、PTSDの主な症状を見ていきましょう!


① 受け取り方を変える‥

PTSDを発症した方の中には、PTSDのきっかけとなった辛い出来事を「自分のせいだ」「自分が悪いからだ」と誤った認識をしていることがあります。

PTSDのきっかけとなった辛い出来事は、必ずしも自分のせいではなく、避けようがなかった可能性もあるはずです。そうした認識を改めることで、罪悪感や自己否定感が軽減され、PTSDの症状が改善することがあります。

これらの反応は、大きなショックを受けたときに生じる自然な反応であります。多くの場合、時が経つにつれて徐々に和らいでいきます。 適度に休養をとり、食事や睡眠にはできるだけ気を配りましょう。

信頼出来る人に話を聞いてもらったり、辛いときは一緒に過ごしてもらいましょう。少しエネルギーが戻ってきたら、趣味を再開するなど、気分転換に何か活動をすることも回復のために役立ちます。アルコールに頼ったり、長期間引きこもってじっとしているのは、望ましくない方法です。


② 自分の言葉で辛い出来事を話す‥

PTSDを克服するためには、トラウマ体験と向き合い、その体験を受け入れることが大切です。そのための方法の一つとして、信頼できる人にトラウマ体験を話すことが挙げられます。

トラウマ体験を話すことは、最初は辛いかもしれません。しかし、何度も繰り返すことで、トラウマ体験と向き合うことができ、その体験を受け入れやすくなってきます。

トラウマ体験と向き合うには、時間と労力が必要です。しかし、辛い体験を乗り越え、新たな人生を歩むためには、大切なプロセスです。


③ 避けていたことに向き合う‥

PTSDを発症すると、トラウマ体験を思い出させるものから目を背ける「回避行動」をとることがあります。しかし、回避行動をとればとるほど、不安感や恐怖感が強くなり、PTSDの症状が悪化してしまう可能性があります。

例えば、人混みが怖い方は、最初は人混みから遠く離れた場所から観察するところから始めます。徐々に慣れてきたら、人混みの中に少しずつ近づいていきます。

そして、最終的には人混みの中に混じって過ごせるようになっていくことを目指します。自分の心が弱いからなどと自分を責めず、専門家のサポートを受けながら、対処することが大切です。


④ トラウマ、PTSD、複雑性PTSD・発達性トラウマ障害へのカウンセリング‥

愛媛心理相談室では、来談された方のニーズに基づきながら、回復の段階、回復力やレジリエンス(復元力)に応じて、来談者中心療法、認知行動療法などを組み合わせ、トラウマへの統合的アプローチをとっています。 一度にすべてをやる必要はなく、必要な時に必要なことをやっていきます。

何を当面の目標とするのか、どのように進めていくかは、来談された方と話し合いながら行いますので、詳しくは、カウンセラーにご相談ください。トラウマへの統合的アプローチを通して、症状が和らぎ、自分を責める気持ちが和らぎ、自己評価を高め、安心感や信頼感を取り戻していけるよう援助いたします。


最後にお伝えしたいこと‥

トラウマを克服するには、安全で快適な環境を作ることが重要です。自分の力で潜在的な脅威から距離を置くことができ、サポートを受けるときに効果が出ます。トラウマ治療は、安全と快適さの感覚を確立して、安定した心理状態を維持することができるようにします。

治療では、心地良いイメージや不快なイメージを行き来し、身体に音や振動を繰り返しさらし、身を委ねながら、修復と治癒を繰り返すことにより、ストレスやトラウマ反応に対する耐性を高めます。さらに、日常生活の中で休憩を取り、リラクゼーションのテクニックを学ぶことは、リラックスした環境を作り出すのに役立ちます。時間が経つにつれて、体の凍りつきや過覚醒反応は徐々に緩和され、体がリラックスするにつれて、心から良いものが溢れ、より柔軟になり、前向きな状態に戻ります。

愛媛心理相談室では、トラウマケアの経験が豊富なカウンセラーがいます。トラウマを克服して自分らしい人生を歩めるようになりたい方はぜひ、愛媛心理相談室のカウンセリングを活用してみてください。 

トラウマを克服した方々の声‥


新居浜市 /  42歳 

ずっと精神科に通院しています。この苦しみからいつになったら解き放たれるのだろう。様々なことを試してきたけれど根本的解決にはいつも至らず、私はこのまま生きていかなければいけないのだろうかと思ったときにこのカウンセリングに出会いました。

救われたのが、過去は変えられないけど過去の自分を救いにいくことは今からでもできるということです。それを知ってから未来に希望が持てたし、私はトラウマに今でも苦しめられてるのだと再確認することができました。

「私が弱いから」と自分を否定することばかりでしたが、この本には「あなたは悪くない」そう言ってもらえた気がします。気休めの言葉より、論理的に、且つわかりやすく解説してくださった先生、ありがとうございます。過去の自分を抱きしめてあげながら、少しずつ前に進もうと思います。
 

松山市 /  47歳  

メンタル関連の書籍はたくさん出版されていますが、だいたいは疾患の解説か読者を癒す系統ばかりです。先生のカウンセリングはそのどちらも満たすお話でした。お話を聞くだけでも勉強にもなり、トラウマに悩まされている私には癒しになりました。

長年人間関係がうまくいかず生きづらさを感じていましたが、カウンセリングを受けることで自分は変われると思えるようになり、変われる自分を信じることができるだけでも、トラウマを克服できると思えるようになっていきました。

ただ、実際のカウンセリングに関しては、トラウマを少しずつ小さくするために思い出したくないことを話すことで、過去の自分を助けに行くことになると、やさしく話しかけてもらったりと、その繰り返しでした。

トラウマに理解のある先生に巡り合うまでには自分でカウンセリングを受けるハードルを高くしていました。書籍やYouTubeで克服策を調べ漁っていた私に、こんなカウンセリングを提供してくださって先生に敬意を表します。


今治市 / 39歳 

トラウマ処理の技法が病院、カウンセラー、ネット、動画と百花繚乱の状態で、調べれば調べるほどわからなくなってしまってました。

そん中、愛媛心理相談室での初回カウンセリングでは感覚、感情に根ざしたトラウマへのアプローチの大切さをお話してくれました。

トラウマ克服のために非常に熱心に私と向き合ってくださりまいた。先生が言ってたトラウマの現実に向き合うと、苦しかったですが、曇りがちな私たちの心の中が少しずつクリアになりました。ついつい忘れがちになることがありましたが、アドバイスいただいた基本のことにいつも気づかせてくれる先生に感謝しています。