
愛着障害‥ 見捨てられ不安
Vol.19| 2025年7月23日
親しくなるとなぜが不安になる。相手にそっけない態度をとられると強い焦りを感じる。相手の愛憎が本物かどうか確かめたくなる。仲良くなりすぎると辛いから最初から一人でいたほうが楽だと考える。
こういった思いを持っていて人との温かい繋がりを築けない人は、もしかしたら見捨てられ不安があるかもしれません。
実は人間関係のトラブルの多くに見捨てられ不安が隠れています。見捨てられ不安が影響して相手を束縛したり試したり、エスカレートして暴力行為にまで発展してしまうこともあります。
そこで今日は、「見捨てられ不安」をテーマに、見捨てられ不安になる原因と特徴、克服する方法についてお話していますので是非最後までお読みください。
まずは見捨てられ不安とはについてです。
見捨てられ不安は最初は生後15ヶ月前後の赤ちゃんが母親から離れることを恐れるようになることからこれを見捨てられ不安分離不安と名付けられました。
見捨てられ不安はその後、大人にもあることがわかってきています。人間関係というものは時間とともに移り変わっていくものです。仲の良かった友達とある日突然を決別することだってあるかもしれません。人生にも人間関係にも変化はつきものです。
魅せられ不安を常に感じているとは、この変化を正常に受け入れられないのです。見捨てられるかもしれないという恐怖が人間関係は全て悪い方向へ変わっていくものだと信じ込ませてしまうんです。
見捨てられ不安に人は、相手が自分の元を去ってしまうのではないかという恐怖にすでに怯えているので、なかなか落ち着くことができません。
そして相手の言葉の一字一句を分析して、すぐにこの人は私と一緒にいたくないんだ、私はこの人にとって重要な人間じゃないんだ、自分は愛されてないんだという考え方をしてしまいます。
例えば、誰かと付き合い始めてもそのパートナーがいつが自分を捨てるんじゃないかと恐れていたら実際にそうなってしまうかもしれません。
なぜならその恐怖は肥大するあまり不健全な執着になってしまうからです。不健全な執着はパートナーを脅したり試したりコントロールしようとしたりして相手のことを信用しなくなります。
そういった行為がパートナーとの関係性を悪化させて、結果として別れることになってしまうですが、見捨てられ不安に苦しむ人は自らのそういった行動によって、自分の恐怖を肯定してしまうのです。
仲のいい友達に別の友達ができただけでたまらなく淋しくなり、不和になる。このように信頼している人との間に少しでも距離を感じると自分が見捨てられてしまったような不安が高まって、いてもたってもいられない気持ちになることを見捨てられ不安と言います。
なぜそのような思考になってしまうのか。次に見捨てられ不安になる原因魅についてです。
見捨てられ不安は、乳幼児期に親との関係の中で十分に受け止められた、安心感を貰えたっていう実感を持てなかった場合に生じやすいのです。
それは一人でいても安心できる、自信と安定感は情緒がグングン育つ子どもの頃に、いつもそばにいてくれる人との関係の中で育っていくからです。
赤ちゃんは泣いたときにすぐに抱っこしてもらったり、世話をしてもらうことで安心を得られます。歩き始めた子どもは親に見守られながら、安心して外の世界に足を伸ばしていくことができるのです。
癇癪を起こした幼児は、自分のイライラを受け止めてもらえることで素直な感情を出しても大丈夫なやって安心できるんですね。
幼稚園、小学校に行く頃には、安心して過ごせる場所が確保されていることによって、集団の中でも勇気を持って活動していくことができるようになるんです。
ところがありのままの自分でも大丈夫という自信や、親はいつでも自分を見守ってくれている、自分は無条件に受け入れてくれるっていう安定感を持てないと、心のどこかに見せられるんじゃないかっていう不安がつきまとうようになるのです。
では、見捨てられ不安になりやすい家庭環境について3つのケースをご紹介します。
1つ目、愛情不足。
親子のスキンシップが極端に少ないケースです。例えば、抱っこやハグなど、親が子どもに対して体を持って愛情を示すことが全くないと、子どもは愛情不足のまま成長します。
また、親が子どもを褒めたり、子どもの行動や存在を肯定する言葉がけがない場合も愛情不足になります。
2つ目、留守がちな家。
親が仕事で忙しくしていたり、不在がちで親から構ってもらった経験が少ないケースです。親は家族のために一生懸命働いていたかもしれないし、ただ自分の用事でいっぱいいっぱいあったかもしれません。
あるいは仕事の都合で単純に不在が多かっただけかもしれません。けど、こういった不在感は子どもに強く影響を及ぼします。子どもの方は自分は親から十分な注目を得られなかったと感じています。
3つ目、両親の不仲。
両親の仲がいい場合、その良好な関係は両親は自分のことを見捨てないっていう考えを植え付けるものとなるのですが、逆に、両親の不仲は見捨てられ不安を生み出すゲーになるのです。
例えば、浮気は子どもに大きな不安感を与えます。こうした出来事が子どもに、人はみんな気が映ったり、心変わりしたり、浮気するものだと思わせることになって、自分もきっと親に見捨てられるって思うようになるのです。
これは子どもなりに形成した防衛機制の一つです。防衛機制というのは不安を軽減するためにその場に適応しようと働く無意識の心理メカニズムです。
この防衛機制が働いたために、パートナーのことを信用できず、用心深くなって不安定な愛着を形成してしまうようになるのです。
また、愛情を得たいっていう欲求を見いだすために、パートナーに依存したりもします。そんな見捨てられ不安がるとどのような生きづらさを生み出すのか。
次に見捨てられ不安の特徴についてです。
本人は当然誰かと安定した関係を持ちたいと望んでいるんだけど、今まで人との密接な関係の築き方を親から学んでいないので、多くの場合、束縛という形になってしまい、客観的に見ればわざと相手との距離ができてしまうような言動をしているさえ見えます。
見捨てられ不安に振り回されると、恋人や友達を失いたくないっていう不安から、相手を束縛したいという気持ちに変わりやすくなるのです。
相手にしがみついて依存的になったり、友情や愛情を試すような行為をしたり、極端な行動や自暴自棄になってしてしまうこともあります。束縛が強くなると、相手はその関係に負担に感じて、信頼関係に溝が生じてしまうことが少なくありません。
例えば、恋愛関係においては、過剰な時間や監視を相手に注いで、相手のことで頭がいっぱいになります。常に一緒にいたい、触れていたい、話したい、愛されたい、大切にされたいと考えています。
もしかしたらこの人が自分を暗く沈んだい人生から救い出して、自分は守って幸せにしてくれるんじゃないかって大きな期待を寄せるのです。
けど、もしそれが思い通りにいかないとその期待は怒りに変わることがあります。相手に対して常に無条件で確実な愛情や、一生変わることがない愛情といったような現実的な期待を持つのです。
見捨てられ不安が強い人は自分に価値がないと感じていて、その傷ついた心を癒すために無条件で確実な愛情を求めます。
自分では自分を認められないから 相手の愛で自分の価値を確認しようとするのです。相手に夢中になりすぎて自分自身のお世話がおろそかになることもあります。
自分についての評価や自分の世話は相手がしてくれると思い込んで、それまで自分のためにしていたこともやめてしまったりします。
見捨てられ不安が強いと恋人や友達に一日何十回もメールや電話をしたり、相手を失うのが怖くて何でも相手の言いなりになって服従してしまう人もいます。
少しでも批判されると急に裏切られたような気持ちになってしまって、攻撃的な感情が湧いてくる人もいます。
見捨てられ不安が強くなると、その不安に耐えかねて極端が行動に出ていって自分自身を生きづらさの中に追い込んでしまう人が少なくないんです。
そんな生きづらさを手放すために、最後に見捨てられ不安を克服する方法について4つのステップでお話します。
1つ目、自分で解決すると決める。
もし自分が常に見捨てられ不安を抱えているとしたら、これまでの人生において、例えば、恋愛面では浮気をするパートナーや、仕事ばっかりであんまり構ってくれないパートナーや、親と甘えすぎるパートナーとを付き合ってきたり、友だち付き合いでは、裏切られたり仲間外れにされたり孤立してしまったり、辛い人間関係を送ってきたかも知れません。
そうやって無意識に幼少期に見捨てられたと体験と同じパターンを繰り返してるんです。
親との関係が大人になってからの人生に影響を及ぼしていることに気付くと、親を責めたり親に対して怒りの感情が湧いてくることもあります。
けど、親も親なりにベストを尽くしたかもしれません。親が大嫌いでも親を絶対に許せなくても構いません。ただ、今更親を責めても何の解決にもなりません。
もう自分は大人になったんだから、これからの自分が下す決断は自分1人の責任です。自分で決めて自分自身と向き合うしかないんです。
まずは自分と向き合って自尊心を高めていくのが最善の方法です。
自尊心を高めれば自分の要求を満たすために、敢えてに依存するのを止められるようになります。自尊心を高めれば、相手も自分のことも信用できるようになります。相手との健全な信頼関係を築くことができるようになります。
自尊心を高める方法については、自分を好きになる心理学講座で詳しくお伝えしていますので良かったら参加してみてください。
2つ目、限界を設定する。
見捨てられ不安が強い人は際限の無さが特徴です。例えば相手が電話に出ないと、何度も電話をして着信履歴をいっぱいにしてしまったりします。
こういった行動は相手も自分も疲弊させてしまいますよね。そこで大事なことは、限界を設定することです。これは自分と相手を守るためです。限界を設定するというのは具体的にここまでは許されるけどこれ以上は ダメ っていう区切りを設けることです。
この区切りを明確にすることで見捨てられ不安をある程度を制御することができます。例えば、夜の11時以降はメールしない、LINE は1日3回までしか送らない、恋人が異性と遊ぶとき1対1じゃなければ許すなどです。
まずは自分がここまでやったら出来るやろうっていう限界を設定します。中途半端な期待や誤解を生まないように明確な数字を設定するのがポイントです。
限界を設定したら、それを相手にもきちんと宣言します。相手に宣言をするのは勇気が必要かもしれません。それでも時間を取って相手としっかりと話し合うようにしてください。
3つ目、自分と対話する時間を持つ。
見捨てられ不安が強く出ているときは、感情にまかせた行動をしてしまいがちです。攻撃的な言葉を使ってしまったり、しつこく電話をしてしまったり、自暴自棄な行動をとってしまう場、感情に自動操縦されてしまっている状態です。
そういうときは深呼吸をして、自分が今どんな感情を持っているのか落ち着いて自分を見つめてみることが大切です。ゆっくり落ち着いて自分と対話する時間を持つようにしてください。
4つ目、中途半端を許容する。
見捨てられ不安が強い人は中途半端な状況が嫌いで、相手の感情が白か黒か自分の感情が白か黒かで決着をつけようとしがちです。
中途半端な状況を共用できる心の強さを持つことができれば見捨てられ不安から解放されます。中途半端を許容できる心の強さを身につけるには、物事の捉え方を見直す必要があります。
それには次の3つの点を意識してみてください。
① 「白黒思考」を手放す。
物事を0か100か、白か黒か明確にさせたい心理のことを白黒思考と言います。好きか嫌いか、勝つか負けるか、絶対に、すべてなど、自分が極端な言い回しを多く使っている場合は、まずは言葉使いから見直してみてください。
意識的に自分の中の白黒思考をゆるめていくようにします。白黒思考を手放す方法については白黒思考が自分を苦しめるという別のコラムでも詳しくお話しています。
② 「べき思考」を手放す。
自分はこうするべき、こうあるべき、また相手に対してもこうしなくてはダメ、というように考えてしまう心理のことを「べき思考」と言います。
べき思考は、自分のことも、相手のことも追い詰める言い方になります。ある程度の曖昧さを持ってお互いの逃げ道を作ることも時には必要です。
べき思考も白黒思考と同じく、言葉使いから見直して、意識的に緩めていくようにします。
③ 別の視点から考えてみる。
「白黒思考」や「べき思考」など自分の思考にばかりとらわれてしまうと、冷静な判断ができなくなっていきます。
まずは自分の考えは一旦置いておいて、こんなとき他の人ならどう考えるだろう、これとは別の考え方が出来るだろうか?中途半端を許容できる人やったらこんな時どう考えるんだろうか、というふうに視点を切り替えてみると客観的な判断ができるようになります。
以上4つのステップで見捨てられ不安を克服する方法についてお話しました。本日は以上です。竿後までお読みいただきありがとうございました。