
心と体を労わるために、ちょっと立ち止まってみませんか?
近年、年齢にとらわれず、自分らしく胸を張って生きている人の輝きに共感が集まっています。
同じように、誰もが、どんな時も、「私らしい、いまの私がいちばん好き」と胸を張って言えたら、それは本当に素敵なことですよね。
その一方で、「自己肯定感」という言葉が取りざたされる時代の中で、時に「私らしさ」を見失ってしまう日があったとしても。
ここで出会った考え方やふとした言葉に触れ、前向きになれたり、真似してみたくなったらぜひ取り入れてほしいと思います。
心理カウンセリングの根幹にもある、「自分を愛する」ということ。
自分を愛することができるようになれば、楽しい人生へと変わっていきます。
自分らしさとは、結論からいうと、「らしさ」=「心地よさ」、それだけです。
これは私が腑に落ちたものなので、正解とか不正解とか、答えがあるわけではないです。でもこう考えると、とっても楽です。
私はそのように捉えるようになりました。
具体的にどういうことかというと、「美味しいなぁ〜」とか、「気持ちが良いなぁ〜」とか、「嬉しいなぁ〜」とかです。
「自分の心」が、ほっこりするような。味わいたくなるような。ワクワクするような。そんなものです。
そんな幸せな気持ちになっている時こそが、自分らしく生きられている時間だなと思うのです。それが私が辿り着いたシンプルな結論です。
自分にとっての心地よさが、自分らしさを作っていく‥
「私らしくいるということは、向かい風に向かってがむしゃらに進むような生き方ではなく、自分が心地いいと感じる選択をし、追い風に乗るようにしてスルスルと人生を進むようなものです。
例えば、心を変えようとして無理やりに心をコントロールしようとするよりも、食べものを変えてみることで心が変わったりします。
逆に食事を変えたいと思ったとき、食への姿勢や命への向き合い方など、心のあり方が変われば、食べるものも自然と変わっていくものです。
そうして自然に生まれてくる気持ちの余裕から、いままで手が回らなかったことにも意識が向き、行動も広がり、引き寄せも増えていくのです。
自分にとっての心地よさを常に選択することで、先ほどの向かい風と追い風の話のように「最小の努力」で「最大限の結果」を引き出していくことができるはずです。
カウンセリングを受けに来る人のなかにも、頭で考えるより、心が感じることを優先させるようになったという人はたくさんいらっしゃいます。
それは誰にとっても決して難しいことではなく、自分らしく生きるための一つの重要なカギを見つけたということです。
過程を楽しむことです‥
私は、もともとせっかちで、直ぐに答えを求めがちなところがありました。でも、ある時から、ゆっくりと息をしたり、歩いたりするように、焦らなくなりました。
春には草花が芽吹き、夏には陽炎(かげろう)が上がり、秋には紅葉、冬にはしんとした空気。そういう変化に気がつくようになってきたのです。
そして、誰かと話す時にも、相手との間合いが伝わってきて、待つことができるようになってきたのです。
のびのびと待つ。このことは誰かと一緒にいる時にとても大事なことです。
答えを求めたり、情報として理解しようとするのではなくて、味わい深い一期一会があります。
私は、いま、そうした他者との関わり方を心の底から楽しんでいます。おそらく、過程を楽しめるようになったから生じた変化なのだと思っています。
そして、過程というのは宝物だったと気がつきました。過程を楽しむ時間をとってあげると自分の体や心の声が聞こえてきます。
誰かが決めた評価ではなくて、心地いいという自分の声を聞いてみると、自分にしっくりくる時間が見つかって、幸せだなとしみじみ感じます。だから、人生で過ごす全ては宝物なのです。
時々、自分につらくあたってしまうことがあります。そんな時、「いまどんな調子ですか?」と自分に聞いてあげることを忘れているんです。
私は、心をケアする仕事をしていますが、実はあまり得意ではありません。
自分にやさしくするとか、丁寧に暮らすことができたらよかったのですが、私はめんどくさがりやだし、その気力も出ないこともあります。
けれども、いままで生きてきて学んだこともあります。やらなきゃいけないとか、やるべきとか、らしくあらねばならないという考えから、こうすれば気持ちいいことなとか、まあ、適当にでいいから一度やってみようと思えるように、自分が変わってきたということです。
「今日もよくやったじゃないか!」と自分に声をかけながら、一日を振り返り深呼吸する時間ができるようになりました。
散歩も以前は健康のためにやらなけりゃいけないタスクのように感じていたのですが、ゆっくりと散歩時間を楽しむと、毎日、心の風景は違っていることに気づいてて面白いものです。
めんどくさがりなところは全然変わらないけれど、楽しむことができるようになったのは私の大きな変化です。

モヤモヤを緩和するマインドセット‥
日常的にふつふつと生まれる負の感情。
私はこの状態を「心の凝り」と例え、身体の凝りと同じように、時間をかけてほぐしていくことが大事だとお話ししています。
そのためには、感情に任せず、まず立ち止まって、心の状態を客観的に見つめてみてみることです。物事には流れがあって、いい時も、悪い時もあります。
心のつらさも同じで、少しずつ変化していくものです。だから、まず「すべては道半ば」と思うようにしてみてください。
解決を無理に急がず、「この先どう変わっていくんだろう」と、客観的に自分の気持ちを捉えてみると、つらさが少しだけ軽くなるかもしれません。
しかし、心がつらいと感じている時ほど、自分の気持ちは複雑で簡単に整理できないものです。そうした捉えどころのない気持ちと、どう付き合えばいいのでしょうか。
「いろんな感情が頭の中にバラバラで浮かんでいるような時は、水槽からひとつずつ丁寧にすくうように、自分の中から取り出してみるイメージを持ってみてください。
他者への怒りの感情もそうです。自分と相手の中間にテーブルやお盆があると想像して、湧いてきた感情を一旦そこに「置く」のもいいですよ。
感情を物体として「取り出す」「置く」ことで、自分の気持ちを外側から眺めてみる。すると「こんなことでイライラしていたのか」と冷静になり、解決策が見えやすくなります。
「心の凝り」をほぐすには、まず自分に中にある感情を観察することがポイントです。
どんな失敗も挫折も、すべてが未来の自分の糧になると思えたら、気持ちが切り替えやすくなります!
「自然治癒力」が本来の力を発揮できる‥
例えば、この音楽を聴いている時、読書をしている時、緑が多い場所で過ごす時など、自分がどういう時に心地いい状態なのか、「これがあれば少しは気持ちがラク」と思えることを、いくつか箇条書きにしたものを自分のトリセツとしてノートに書くことをおすすめします。
そして、ちょっと嫌なことがあって気分が落ち込んだ時に、「気持ちを持ち直すにはどうするんだっけ」と引っ張り出してみる、というわけです。
心が疲れている時は、余裕がなくなってしまうものなので、ノートを見返すことで「そうそう、自分にはこれがあるんだ」と少し安心できるようになります。
このように、ノートなどに書くことによって自分の気持ちを持ち直すことには、身体の怪我が癒えていくように人間の持つ「自然治癒力」が働いているのです。
そしてこの「自然治癒力」こそが、生きていくための大切なキーワードなんです。
大切なのは、自分の「自然治癒力」を応援してあげること。「自然治癒力」がちゃんと働くためには、心にも身体にもある程度余裕を持つことが必要です。
だから、疲れたと感じたらまず休む。なるべく「自然治癒力」が本来の力を発揮できるようにしておきたいですよね
心の声に耳を澄ませてください‥
「新しいことに挑戦がしたい!」と考えたことはありませんか?しかし、あれこれと思い描いても、なかなか踏み出せない人も多いかもしれません。
私が心理の世界に人生を方向転換したのは、「好きなこと、興味のあること、心を扱うことを仕事にできたら、どれだけ人生が変わるんだろう」と想像したことが最初の一歩でした。
あなたも、ワクワク、ドキドキする未来を想像して、まずは「小さく」始めてみることです。
私自身、好きなことや、こうなったら楽しいなと思うことを昔からノートに書き出していました。そうすると、自分の大切にしたい気持ちが可視化されて、「なりたい自分」を知るヒントになることがたくさんありました。
「自己分析」の末に「なりたい自分」を知ることで、自ずと次のアクションが見えてくきます。まずは小さな一歩でも、行動に移すことが大事です。
「行動しなければ出会えなかった景色がたくさんあるな~」、つくづくそう思います。好きなことを仕事にしたいけど、なかなか一歩が踏み出せずにいる人も多いかもしれません。
それでも、まずはワクワク、ドキドキする未来を想像することから始めてみてください。すべてはそこから始まるのです。

楽しい時間、ぼんやりと何かをする時間が大切です‥
私は、心の傷(トラウマ)について研究してきたので、苦しい時に寄り添ってくれる物語が人を支えていると考えています。
私自身も苦しい時、様々な物語が自分を支え、生かしてくれたと感じています。
川の流れを見つめるとか、空気を味わうとか、そういった時間が最近なかったなと気がついたのです。
生きることに精いっぱいで、息をつく時間や休むことを忘れていたんですね。
「遊び」がない状態だったのかもしれません。趣味が楽しめないでいました。そこで、趣味を楽しんでいる人をじっと観察してみました。
気がついたのは、みんな、楽しいからやっているということでした。
ぐいぐいゆくマインドではなくて、いま、この瞬間が楽しいというキラキラした光が見えました。
趣味っていうのは楽しい時間そのものなんですね。楽しいから趣味なんだと気がつきました。
いま、私は新しい分野を学ぼうとしているのですが、そのためなはもっと勉強をしないといけないと思っていました。
けれども、新しい分野を学ぶのが好きな知人に話すと、「それは必ず楽しい経験になるよ!役立つよ!」と言ってくれたんです。
楽しいから趣味になるんだなとわかった時、大きく自分の考えが変わっていったことをおぼえています。
そうして、楽しい時間、ぼんやりと何かをする時間をつくってゆくうちに、私は急ぐことをやめて、誰かと呼吸を合わせる生き方をするようになってきました。
時間をかけてゆっくりと進んでいく‥
心のセルフケアは、必ずしも「すぐに効く」といったものではないかもしれません。
時間をかけてゆっくりと進むことこそが物事の大切な共通点になっています。
例えば、ワインが時間をかけて熟成されていくように、時間をかけることで、物事って複雑さが生まれ、質が上がります。
会話も同じように、「結局、何がいいたいの?」と過程を省略するようなことをせず、相手の言葉をゆっくり待ってみる。
すぐに答えが出ないとしても、心や気持ちは何かしら変化しています。「待つ」ことが、豊かな時間をつくるのです。
時間をかけて育む関係性や過程を大事にすることは、決して遠まわりでありません。
世の中はいろいろなものが影響し合っている、円環的(えんかんてき)なものだと思うんです。
だから効率と結果だけを求めて直線的に進むのではなく、ぐるぐるといろんな線を辿ってみて、そこで失敗する経験も大事なののです。
どんなことも自分自身を知るために経ていく道だから、無駄ではありません。
落ち込んだり、悔しさに苛まれたりしても、それは、いい加減ではなく、頑張っているから悩むのです。
そういう時こそ、自分に「よくできた!」「スゴイぞ!」って褒めてあげてください。
まずは「すべては道半ば」と思うところからです。心のセルフケアは、つらい気持ちを和らげるだけでなく、自分を肯定してくれる大切なお守りになってくれるのです。
いろんな自分がいてもいいじゃない‥
周りと自分を比べて、思い悩んだり、劣等感を抱いたり。
そんなふうに心が揺らいでしまう時、私の考える「自分」の捉え方は、きっと気持ちを前向きにしてくれます。
その理由は「人を構成する要素は、ひとつではない」という想いからです。そして、それは心のケアを考える上でもとても大切なものです。
本来、人って「多面体」のようなものなんです。「自分はこう」と決めつけて、その面だけで人と比べてしまうのはもったいないですね。
いろんな側面があって、どの面も自分だという考え方が大事です。
「多面体」をイメージすることは、「自分」だけでなく、まわりの捉え方やコミュニケーションする相手への接し方も変わっていくはずです。
人間ですから、考え方がそれぞれ違うのは当たり前のことです。見えているのは相手のほんの一面です。
だから、知らない面がまだまだあるはずと思って、わかった気にならないように気をつけておくことで負の感情を抑えられるはずです。
一方で、「頭ではわかっていても、イライラすることも落ち込むことも、もちろんあります。そんな時は、まず「自分の気持ちを客観的に見つめ直す」といいですね。

「加点法」=「ポジティブ視点」で生きる‥
「好き」は感性でも才能でもなく訓練で見つけられるようになると思います。
自分の部屋など、今いる場所を見渡して、好きなものを10個、探してみてください。
最初は見つけるのが難しいかもしれませんが、時計の文字盤や、壁の色など、少しでも好きだと感じる何かが見つかると思います。
次は思い出の中から10個。その次は、出先から家までの道のりで10個。
その時、「好き」と思ったものをノートに書き留めるのです。それを繰り返していくうちに、誰もが日常の中に自分だけの「好き」を見つけられるようになります。
「好き」に理由や根拠はいりません。誰かの評価も必要ないと思います。
大切なのは、物事のよい面を探すこと。「加点法」で世の中を見られるようになれば、ある人には興味が持てないものでも、面白いと思えるようになるはずです。
私は、見つけた「好き」について「もっと知りたい」「もっと見たい」と深めていくことで、「好き」を増やしてきました。
自信をもたらし、そしていまライフワークになっているたくさんの「好き」は、私のお守りなっています。
無関係の「点」がいつか繋がる‥
現代社会では加速度的に効率化が進んでいます。AI化する社会のなかでも不安感を覚えず、生きやすいと思えるヒントは自分のなかにあるのでしょうか?
AIにはできなくて人間にできることがあります。それは「自分を壊し続ける」こと。今日がダメならまた明日、ゼロから仕切り直せばいいだけのことです。
そういう芸当はAIにはできません。AIは私たちの生活を便利にする道具に過ぎないのですから、私たちが使われる必要はないのです。
また、無関係のドット(点)を結びつけることもAIにはできません。
人生は、何があるかはわからないものです。でも、そんな偶然性に希望を託せることが、私たちの価値なのかもしれません。
言葉が心に作用する感覚に意識を向ける‥
「フワフワ言葉」や「チクチク言葉」という表現を、最近耳にしたことはありませんか? 「フワフワ言葉」とは、言われて嬉しい気持ちになる言葉のことです。
一方「チクチク言葉」とは、言われて嫌な気持ちになる言葉のことを指します。
言葉はとても大きな力を持っていて、言われた人、そして言った人自身の心にも深く作用するものです。
私たちのまわりには、たくさんの情報、言葉が溢れています。はっきり自覚していなくても、日々、目にした言葉、耳にした言葉に大きく影響を受けています。
前向きになりたい時、ポジティブになりたい時は、ネガティブな情報や言葉となるべく距離をおきましょう。そして、自分が触れる言葉を意識的に選択するのです。
前向きな言葉、ポジティブな言葉にたくさん触れるようにすると、心は上向きに引っ張られて健やかになっていきます。

前向きさは性格ではなく、"技術"です‥
言葉には人生を支配する力があります。
私はカウンセラーとして言霊を人に届ける"シャーマン"であるとも思っているので、常にポジティブな言葉、やさしい言葉で発信するように心掛けています。
言葉が可視化されることでプラスの影響が得られるため、日常でも、頭で考え完結させるのではなく、「ポジティブな感情をノートに書く」ことをぜひ取り入れてみてほしいのです。
人生は、物事の捉え方ひとつで変わります。ポジティブさや幸せは、生来の性格や環境ではなく、実は「技術」なんです。
そもそも「ネガティブはよくない」と捉えている時点で間違っています。
まずはネガティブを「悪」ではなく、自分の中の自然な感情として捉えてあげる。
認めることで、マイナスな感情に必要以上に振り回されなくなります。
さらに、人生の幸福度は捉え方ひとつで変わります。人生で壁にぶつかった時も、「もうダメだ」ではなく、「チャンスが来た!」と考えるようにするべきですね。
だって、チャンスはたいていピンチの顔をして近づいてくるのですから。
不安を無くせないなら、そこから始めればいいい‥
挑戦とは自信があるからできるものだと考えがちですが、私は不安だったからこそ探究心を深め、自分の可能性を切り拓くことができたと思います。
常に自信がない。私の性分みたいなものでしょうか。毎度、セミナーの前は不安になって、不安だから万全の準備をする。
作成したテキストを何度も読み返し、いろんなものを見たり聞いたり、読んだりしてさらに勉強する。
そう考えると、私の中には「不安」と「探究心」はセットのような気がします。
無理に自信をつけるのではなく、不安ときちんと向き合うことで探究心を刺激し、行動へとつなげることが大事だと思うんです。
自分を大切にしてあげる時間をつくる‥
私の中でいろんな変化がなぜ起こってきたのかと振り返ると、やはり人とのつながりかなと思います。
ゆっくりとお茶を飲む人、空を見るのが好きな人、散歩をする人。みんな、その時間を楽しんでいます。
そんなゆっくりとした時間を過ごしている姿を見ていると、成果を出そうと一足飛びの発想だった自分から、自分を長く大切に養生しようという思いへと変わっていったように思います。
心が傷ついた時、何もしたくなくなったり、苦しさの嵐にのまれてしまいます。
つらい時こそ、自分を大切にしてあげる時間をつくってほしいと思います。
休んでもいい。楽しんでもいい。
どうかそんなふうに自分にやさしく言葉をかけてあげてください。