感情をコントロールことができない

近年、感情のコントロールができないという相談が増えています。 「自分なりに努力しても感情をコントロールできない」と悩んでいます。

「人間は感情の生き物」と言われますが、感情に左右されたり、うまく感情がコントロールできなかったりすることが時としてあります。ある面、人として自然なことだと思います。

しかし、感情に振り回されると自分もしんどいし、周りもしんどくさせてしまいますから、うまくコントロールできたらそれに越したことありません。

普段は問題ないのに時々感情がコントロールできなくなってしまう人もいれば、いつも感情に振り回されている人もいます。感情がコントロールできない理由は人や状況によって異なります。私は、その理由をひもとくキーワードは「トラウマ・心の傷」にあると思っています。


ずっと続くイライラ、クヨクヨにはわけがあります

イライラが続いて止められない。ときには怒りが爆発してしまう。後で罪悪感でいっぱいになる。自分が好きだとも思えないし、自信が持てない。すぐにクヨクヨ悩んでしまう。

程度の差はあっても、当相談室には数多くの人がこうした悩みでカウンセリングに来られています。そのよのようなつらい感情は止めたくてもなかなか止められませんよね。止めようとしてもあふれ出してくることがあります。

つらい感情が湧いてきて、どうしても止められないとき、私たちがずっと以前に背負った「心の傷」が痛んでいるのです。それは子どもの時代に背負った「愛情飢餓」の痛みなのです。

この痛みを癒すことが、何度もぶり返す感情を抑え、そして解決へと導くことになるのです。心の奥深くにとどめ、抑えつけている感情は何か。どうしたら解決できるのか。私は「大人の愛情飢餓」に踏み込んで、ぶり返す感情を止める方法をカウンセリングで提供しています。

感情が安定しない根っこには「怖れ」があるからです

「腹が立ってどうしようもない」「私はこんなに傷ついているのに誰もわかってくれない」 こんな思いが湧きあがり、執拗に相手を攻撃したくなるとき、心の奥底にある本当の感情は怒りではなく「怖れ」の感情です。

怒りは怖れている事態に直面しそうなときに生まれます。安全が脅かされたり、大切な物や人を失ったり、奪われそうになったときです。

また、怖れの感情を感じそうで不安になったときも怒りが生まれます。相手が自分に愛や関心を向けてくれないとき、自分を大切にしてくれない、尊重してくれないと感じたときです。

寂しさや自己無価値感の苦しみを感じそうになりすると、とても怖くなるのです。ですから、愛情飢餓を強く感じている人ほど、ことあるごとに怒りがぶり返してきます。

感情がコントロールできない、怒りが湧いてきて自分で止めることができない、また一人になると孤独感、寂しさ、不安が襲ってくると感じるなら、ぜひ自分の心を深く見つめ、なにがあるのかを気づいていってほしいのです。

感情を押し殺すから苦しくなるんです!

そもそも、人間が社会で生きるためには、感情に抗う(あらがう)瞬間が訪れます。

「今日は落ち込んでいるけど、明るく振る舞わなきゃいけない」「本当は好きじゃないけど、仲良くしなきゃ気まずくなる」「母親を安心させるために、自分の気持ちを隠し明るく振る舞う」「周りの人に同調するべきと思い、一緒になって他人の悪口を言ってしまった」などいろいろあるでしょうね。

では一体、何が問題になるのでしょうか? それは感情を押し殺すこと、すなわち本音を隠し続けて生きてしまうことにあります。そうしてしまうと、ずっと無理をしている状態になり、逆にストレスがどんどんと膨らんできて感情をコントロールできなくなるのです。

一時的にしのぐのではありません。感情を押し殺す、本音に背くことを続けることを、今日からやめるべきです。感情を「一時的にコントロールすること」と「慢性的に押し殺してしまうこと」は別なのです。その使い分けをハッキリと理解してほしいのです。

感情を大切にする2つの方法

感情をコントロールしたいと思うなら、自分を大切に思える気持ちを持つことです。ちょっとうまくいかなかったり、人間関係でつまずいたりしても、自分を否定せずに「自分は大切な存在なんだ」と思える感覚、それを持てるようにしていくことが大切なのです。

 どんな感情や考えが湧き上がってきても、それを否定したり押し殺したりせず素直に認めてあげることです。

「寂しいね」「悲しいね」「恨みで気が狂いそうなんだよね」、そんなふうに、まずはあなたが自分の本当の気持ちを受け止めてあげてください。本音を押し殺してしまうとどうなると思いますか?心の心奥に溜まっていき、そのうち爆発したり歪んだ形で突出するのです

感情は、常に一定しているわけではなく、ジェットコースターのように上がったり下がったりします。人に認められれば嬉しくなり気持ちも上がっていきます。反対に批判されると感情は一気に下に下がっていきます。

そんな時には、次にお話する2つを試みてほしいのです。

◻️ 自分の声を聴く

誰だって、自分の本音よりも世間の常識や他人の考えに合わせる時があります。「人に認められられるか嫌われるか」に心が奪われてしまうからです。

同じように「正しいか間違いか」に気を取られ、自分がどうしたいか、今なにを感じているか、好きか嫌いかを無視してしまうことがあります。誰にでもそんなところがあると思います。

でもこれからは、「自分はどうしたいのか」「いま何を感じているのか」自分自身の声に耳を傾けるように心がけてみてください。「私はどう?」「私は何をしたい?」と、自分自身の心に体に尋ねてあげましょう。

◻️ やりたいと思ったことをやってみる

例えば、朝起きて「〇〇のパンが食べたい」と思うかもしれません。そんな気持ちが起きた時、「そんなことのためにわざわざ外に出て行かなくても、他に食べるものはあるし」と無視していたかもしれません。

でも、これからはそのパンを買いに行きましょう。突然アイスが食べたいと思ったら、たとえ寒い中でも自分のためにアイスを買いに行ってみましょう。

自分がしたいことをしてあげてください。あなたがあなたを大切にする、あなたがあなたの感情を整えてあげること、そこから始まります。

あなたは今、私のホームページを読んでいますよね。自分の気持ちがブレないように、自分を好きになりたくて読んでいることだけで、まずはちょっとOKを自分に出してほしいのです。

「私、こうして変わろうとしている。よくやっているよね!」と自分で自分を認めてあげてほしいのです。小さいことですが、自分を褒めることです。小さな種がちょっとずつ大きくなり、あなたの感情は穏やかに、何があっても大丈夫と思えるようになりますよ!

つらい感情を洗い流すために‥
カウンセラーに話してみましょう!

心の傷を癒すには意思の力だけではどうにもなりません。なぜなら、心の傷の根本は、自分でコントロールできる意思の領域ではなく、無意識の領域に抑え込まれているからです。

心の底にある傷を癒すために、カウンセリングを受けるべきです。カウンセリングを受けるのは「異常な人」や「病気の人」だけではありません。誰の心にもある傷を癒し、誰もが抱える悩みを解決するためのものです。

「人の目がすごく気になる」「人と会うと緊張する」「人に優しくしたいのにできない」「前向きになりたいのに、うつっぽくてやる気がでない」「もっと強くなりたいのに、いざとなると弱い自分がでてしまう」など。

カウンセラーは話しやすく、優しい人たちです。カウンセラーに会ったときに、話したいことが出てくればなんでも自由に話せばいいのです。悩みごとも、日常生活の些細なことでも、何でも構いません。

カウンセリングを定期的に受け続けると、心の痛みがだんだん癒されます。今よりも元気になっていくはずです。そして幸せをつくる力が湧いてきます。