心を開いてくれない人‥

Vol.5 | 2025年6月14日

あなたは人に心を開けていますか?身近な人が心を開いてくれず困っていませんか?

今日のコラムは、「心を開いてくれない人」についてお話しします。

あなたの周りで「人当たりがいいのに、なぜか心を開いてくれないな~」と感じる人はいませんか?人に心を開けない人のことを、心理的ホームレスと呼びます。

「心理的ホームレス=心の中に帰る家がない」ということは、いつも不安と背中合わせで落ち着く暇がない状態です。

そうなる理由としては、心の底にある敵意とか、幼少期からの成長過程の問題(トラウマ)とか、持って生まれたもの(発達障害)とか、とても強い思い込みなどが考えられます。

このどれもが幼少期の環境、育てられ方が大きな原因だといわれています。

心を開くとは、本心を明らかにする、心の奥底を打ち明ける、と辞書に書いてあります。

つまり、心を開けないとは、本心が言えない、また腹を割って話すことができないということです。でも、誰か一人でも本音が言える相手がいるなら、それは心を閉じているとはいえませんよね。

自分にとって不利益となる人に心を閉ざすのは当たり前です。

ただ、誰に対しても心を開かない、本音が言えないのはなんででしょうか?ちょっと立ち止まって考えてみてください。

ではここで、心を開けなくなった理由について考えていきましょう。大きな理由の一つは、幼少期の環境、育てられ方です。

あなたの幼少の頃を思い出してみてください。懐かしいなあ~とう気持ちになりますか?それとも、思い出したくない、記憶にないなど、嫌なイメージばかりが浮かんできますか?

もし後者ならば、幼少期の環境や育てられ方になんらかの問題があったかもしれません。

幼少期に絶対に必要なのは、母親の存在です。母とはどうい存在でしょうか。

 それは、怒りの感情や悲しい感情を出しても受け入れてくれる、許してくれる母親のこと。そんなイメージでしょうかね。

反面、母親の反応に怯えていたり、母親の振るまいに嫌悪感を抱いていた場合、その母親は母心を持ってない母親になります。このような親の元では、子どもは甘えたい願望をひたすら抑圧しなければなりません。

何か母親のために役立つことをしないといけない、母親に負担をかけをかけてはいけない、良い子でいないとお母さんを悲しませるとなってしまいます。そうなると甘えるどころの騒ぎではありません。

そのような場合、親と子の間には信頼関係がないことになります。だから本音が言えない、心が開けない状態になるのです。

このような親は、自分の中にある無力感を埋めるために子どもを利用してしまいます。

例えば、子どもに恩を売ったり、感謝することを強要することで、子どもは実際には、感謝もしてないのに「ありがとう」とお礼を言ったり、嬉しそうに喜んだりする振りをしないといけなくなります。

このような恩を売られたり、感謝を強要されて嬉しい人はどこにもいません。

こんな誰もやりたがらないことを、甘えたい子どもの頃からやり続けると一体どうなるでしょうか?このような子どもが大人になると、大きな葛藤に悩みます。

 それは周りの人からも認めてもらいたいけど、そのためには子どもの頃に経験したような、したくもないお礼言うとか、喜ぶ演技などをしなくてはならないという葛藤です。

このような理由から、次第に人と親しくなることが厄介だと感じていき、人とのコミュニケーションから距離を置くようになります。

本来なら、自分のしたいことをすればこの葛藤は生まれてきません。幼児期の習慣を入れ替えることはとても難しいと思います。

心に葛藤がある状態は、考え方も性格も全く異なる人と、憎み合いながら一緒に暮らしている家族のようなものです。実際にそうして暮らしている人も少なくありません。

こんな環境にいると、心が不安定になり、緊張して、身動きがとれなくなくなってしまいます。また、そんな環境でなくても、幼児期の経験から敵地にいるような感覚を覚える人も多いと思います。

また、心を開かない人は偽りの事故であるという説もあります。

イギリスの小児科医ミニコットは、他人に心を閉ざす人は、偽りの事故で生きていると言っています。原因は、情緒的に破壊した家庭で育った子どもの反応の一つだと言いわれています。

偽りの事故とは、本当の事故のことではありませんが、ほとんどが偽りの事故で生きているのではないかと思うときさえあります。だからこそ、多くの人が人生が楽しいと思わないし、誰とも親しくなりたいと思わなくなくなるのです。

確かに、心を開かない人、偽りの事故で生きる人は、このような特徴がありますね。自分の力だけでうまくやろうと一生懸命努力するのです。

これは、一見自立しているようにも感じますが、ちょっとではなく、だいぶ違います。

なぜ誰にも頼らずに自分一人でやろうとするのでしょうか?それは根底に「人間不信」があるからです。これは幼少期の環境のところでお話したように、誰も助けてくれなかったからです。

周囲の人から助けられ、守られてきた経験がない。だから一人でやるしかなかったのです。

つまり、心を開けない人は、心理的にずっと昔から一人で生きてきたのです。ずっと一人で危険な橋を緊張しながら渡ってきたのです。見渡せば周りはみんな敵だったのです。

だから、周りの人が当たり前にやっている助け合いの意味がさっぱりわからなくなるのです。そんなことをしたら、きっといつかは騙されるじゃないか、と怖れを感じてしまうのです。

また、親に恩を売られたように、他人には利益を与えないと誰も守ってくれない環境だったので、このような信念が強く残っていくのです。

だから自立していると言っても、成長につれて自然に自立するのと違って、一人で生きていかなくてはならなかった、という辛さがあるので、それが性格にも染み込んでいきます。

また、心を開けない人は人生が楽しくないはずです。人生が楽しいとは、後から振り返って懐かしさを感じることです。

あなたは幼少期のことを懐かしく感じますか?また学生のとき、就職したとき、結婚したときなどなど、過去を懐かしく感じますか?

人に勝って優越感を感じることはあっても、それは楽しいという感情ではないはずです。また、人と接するのときにビクビクしてしまうのは、子どものときに経験したトラウマがあると思います。

例えば、近づくなというような暗黙のメッセージをまた受け取ってしまわないかと、ビクビクしているというようにです。

このように、心を閉じた人は、不信感とか怯えから、嫌いだけど仲のいい関係を多く作ってしまいます。もともと敵地にいたので、好きとか嫌いという感情を大切にしてこなかったので、人を見る目が曇っています。

そうなると多くの人から避けられているような、搾取するような人を簡単に受け入れてしまうことも多いはずです。

このように心を閉ざして自分を守っているつもりなのに、ふとしたときに危険な人を招き入れて、さらに危険な場所を作ってしまいます。

後半は、人と親しくなるにはの話です。

アメリカの精神分析であるプロイデンバーガはこのように言っています。燃え尽きることから自分を救うためには、やさしさを培うことである、といっています。

心を開けない人は、いつも緊張していて、周りは敵だらけだと思い込んでいるため、とても疲れています。その疲れを癒すのは、マッサージよりも睡眠よりも、本音が言える親しい関係だけです。

心を閉ざす人は、自分の弱点がバレて、他人からがっかりされることをひどく恐れます。でも実は、親しさの第一歩は自分の弱点を示すことなのです。自分の弱点を受け入れたら、自分の良さが見えるようになるはずです。

つまり、弱さも良さも受け入れることが自分を受け入れることになります。

自分を受け入れられると、他人も受け入れられるようになります。だから他人と親しくなる前にまずは、もう一人の自分と親しくならないといけません。

ではどうしたら他人から受け入れようになるかです。

今までは、立派なことをして、尊敬されたり称賛されることしか考えられなかったかも知れません。それが自分のいた環境だったからです。親の意向だったのです。

でもその立派なことをしよう!人より優位に立とう!とする気持ちが逆に、人を遠ざけてしまうことになるのです。

では、愛想よく振るまったり、人当たりを良くするなど、コミュニケーション力を使うのはどうでしょうか。 これは結果的に演じることになるので、失敗する、挫折のコースで終わってしまいますのでおすすめしません。

では、どうしたら他人から受け入れられるようになるんでしょうか。その1つは、人の苦労を認めることです。もちろん相手が信頼できると見定めた上でです。

あなたはよく頑張ってきたよ!などと言われて、心底ホッとしたことはないですか?これが人が求めている究極の癒しともいえます。

人間は自分の苦労をちゃんと受け止めてもらえると、それが癒しとなり、生きる活力となります。そしてその人間関係が心の安全基地となるのです。

こうして少しずつ小さな安全基地を作っていくと、リラックスできる時間が増えていきます。親しくなるとは嫌いなことを嫌いと言っても関係が切れない関係のことです。

ただ闇雲に破壊的なことを言うのとは違います。つまり見捨てられる不安を持つ必要がない関係です。

逆に言うと、見捨てられる不安を感じたり、演じる必要を感じる相手とは親しくはなれないはずです。

つまりまとめると、

① 自分の心にある敵意を意識化すること。

ライバル視もそうですが、人より上に立ちたい、目立ちたい、なども敵意から来てます。これに毎回気づいて立ち止まることです。

② 嫌いな人は捨てる

喧嘩はその人を捨てる覚悟で向き合うことです。嫌いな人からは嫌われてもいいと何度も心に誓ってください。

また行為は相手が良い人とわかってから出すようにします。愛想笑いとか、ヘラヘラしていると、タチの悪い人がどんどん近寄ってきますから注意してください。本当に心を開くのは一人で良いのです。

③ 動揺しない練習をしておく

反応しない練習という話がありますが、タチの悪い人は相手を動揺させて、操作をしてきます。つまり動揺すると他者からのコントロールを受けやすくなります。

周りがいくら悪人ばかりでも、自分だけは心安らかにいられるように、他者コントロールではなく自己コントロールできるように鍛錬しましょう。

時間はかかるし地味な作業ですが、安心できる場所は自分で作るしかないのですよ!


終りに‥ 

今日、前半は人に心を開けない理由のお話をしました。

幼少時の過酷な体験によってすべての人を敵だと捉えてしまったようです。でも中には悪意がなく敵意を向けない人もいることに気づくと人生が楽しくなるはずです。難しいですが諦めずに挑戦したいところですね。

後半は人と親しくなるにはについてお話ししました。

人と親しくなるには、自分を不幸にする人をまずは排除したり、近づかないために、人を見る目を磨いて予防する必要があります。

人生は短いです。嫌いな人やあなたを不幸にする人に避ける時間などないと思います。人を見る目を磨けば大切にしてくれる人も見分けられるようになります。

いかがでしょうか。心を閉ざすのは最大の防御だと思っていたけど違ったということです。

心を閉ざせば閉ざすほど、自分を危険にさらして守れず、周りは敵ばかりになってしまうのです。まずは自分の弱点を受け入れることです。あなたの弱点とされたことは誰かにとって都合が悪かっただけです。

幼児期にはいろんな禁止のメッセージを親から受けますが、どれも矛盾してます。

例えば、女になるなとか、成長するな、などです。つまり幼い頃に指摘された弱点などは親にとって都合が悪かっただけなのです。きっとその弱点こそが、親からも嫉妬されてしまうほどあなたの魅力なのだと思います。

以上、「心を開いてくれない人」の話を終わります。