
心理カウンセリングの期間と回数
「カウンセリングはどのくらい通えばいいのでしょうか?」よくいただく質問です。大切なお金と時間を使うのですから、終わりの見えない不安を感じるのは当然のことです。
もちろん、進み方はお一人おひとりの目的や状況によって異なりますが、一つの目安として、私の経験から一般的な経過のイメージをお伝えします。ここでは月3回のペースで通われる場合を想定しています。
【導入期(1ヶ月〜3ヶ月 / 3回〜9回程度)】まずは、今抱えている問題やこれまでの経緯をじっくり伺う時期です。
【内容】状況の整理、困りごとの背景の確認、カウンセラーとの信頼関係づくり。
【変化】「誰にも言えなかったことを話せた」という解放感や、今の状況を客観的に見られる安心感が出てくる段階です。
【中間期(4ヶ月〜1年 / 12回〜36回程度)】ご自身の考え方のパターンや、感情の動きを深く掘り下げていく時期です。
【内容】表面的な問題だけでなく、その根底にあるテーマ(対人関係の癖、自己肯定感など)に取り組みます。
【変化】一進一退を繰り返しながらも、日常生活の中で「あ、自分は今こう感じているな」と気づく力が増し、少しずつ具体的な行動や気持ちに変化が現れます。
【終結期(1年以降〜 / 36回以降)】カウンセリングで得た気づきを、自分の力として定着させる時期です。
【内容】ぶり返した時の対処法を確認したり、カウンセラーがいなくても自分で自分を支えられる状態を整えます。
【変化】「もう一人で大丈夫だ」という自信がつき、カウンセリングを卒業する準備をします。
お伝えしたいこと
心理カウンセリングの目的は、「早く終わらせること」ではなく、あなたが「納得のいく変化を感じ、自分の足で歩き出せること」にあります。
状況によっては、当初の目的が変わったり期間が延びたりすることもありますが、その都度「今、どのあたりにいるのか」を一緒に確認しながら進めていきます。まずは3ヶ月ほど、一緒に歩んでみませんか?
初回 | アセスメント面接 ――
アセスメント面接として4~5回の面接を設けて、悩みや困りごとについて多面的に評価し、最後の面接で詳細な見立てと、私たちが提供できるカウンセリングや心理療法の方法を提案し、目的について話し合います。
相談者にとって、ここまでのカウンセリングは困りごとの背景について心理学的理解を深めることと、カウンセリングやカウンセラーとのお相性を試めす意味があると思います。
逆に言うと、5回前後のカウンセリングでは悩みや困りごとの解決までには行き着きません。例えるなら、旅に出るための準備をしつつ、ガイドの自己紹介を聞き、ざっくりした地図を手渡された、という段階でしょう。
ここで終了するカウンセリングは、地図だけもらって一人で行くことにした、そもそも旅に出る段階ではなかった、別のガイドにしたい、という状況だと思います。それはそれで良いと思います。
期間|4ヶ月~6ヶ月弱 ――
目的、方法について説明し、カウンセリング契約を交わした後、4ヶ月から6ヶ月でひとつの山を迎えることが多いです。回数としては15回~20回程度となるでしょうか。
この時期になると、悩みの背景が理解できていたり、表面的な問題が解決してきたり、感情が整ってくることがほとんどです。とりあえず問題を整理したい、一時的に症状がなくなればそれでよいという方はこのあたりで終結となります。
しかし、問題の根が深い方は、それでは解決にならないことが多いです。
「問題の根が深い」トラウマに起因している場合や、単発の悩みごとではなく、人生の中で何度も同じような悩みを抱えてきた場合、何が原因か分かったけど、何も変わらないとフラストレーションを感じる時期でもあります。
そういった場合は、カウンセリングを延長していきます。
期間|1年半から3年程度 ――
この時期になると、ある程度、共通の目的を持って取り組んでいる実感を感じられていると思います。内面の変化が起こって2~3年で終結することもあると思います。
しかし、じっくり時間をかけて進める方や、より広範な内面的変化を求める方、最初の悩みや問題は解決したけれど別の問題に取り組む必要が生じた方は、3年以上続くこともよくあります。
この頃になると、面接の中でその人独特の世界が濃厚に展開しています。いわゆる転移・逆転移の進展です。
敵対的な関係性になってしまう、恋愛感情を抱いてしまう、言いたいことが言えない、知的なお勉強のようになってしまう‥ どのように展開するかは様々です。そこには面接の進展を困難にする危険が潜んでいます。
独特な関係の展開が激しすぎて、来談者が耐えられなくなり中断する、あるいはカウンセラーが耐えられなくなり不適切な言動をとってしまう‥ 逆に心地よい関係性に陥ってしまい、二人とも別れを否認して、不毛な関係を続けてしまう‥ 危険を完全に排除することはできません。
このような危険がまったくないセカウンセリングは嘘っぽいと思います。
しかし、なるべく早く危険を察知し、破局的な状況には至らないよう、カウンセラーはスーパービジョン(助言や指導の方法 )や個人分析を活用し、面接を客観的に振り返る機会を持ち、自分の癖やパーソナリティ傾向を把握するよう努めます。
期間|5年以上 ――
いくつもの山を乗り越え、クライエントとカウンセラーの間に深い信頼関係が育まれていることが多いです。
5年以上というと、長いと思われるでしょうか?カウンセリングとしては、そこまで珍しいことではありません。
長期間のカウンセリングや心理療法は依存性を高めるだけではないかと指摘されることがあります。しかしカウンセリングは、依存が生じるほど心地よいものではありません。
信頼関係がベースにあるとはいえ、必要以上に欲求が満たされることはなく、直面したくない事実に気づかされます。
そうしているうちに転移・逆転移の展開は行き着くところまで行き着き、解釈されつくします。
主観的に内面が随分変わったと感じられ、症状が軽減し、社会適応が良くなっているはずです。その効果は、他のカウンセリングに比べて長期間持続します。
まとめ ――
カウンセリングを数回受けて悩みを解決することは難しいです。ましてや考え方のクセを短期的に変えていくなどまずできません。
専門的な見立てや助言(ザックリした地図)をもらい、後は自分で取り組む場合は5回程度で終わることも可能かも知れません。
表面的な問題、現実的な問題を解決するだけでも、4ヶ月から6ヶ月(15~20回)程度を要します。
問題の根っこが深い方や内面的な変化を求める場合は2~3年以上かかることが多いです。
「そんなにかかるの」と思われましたか?しかし、困りごとの内容が幼児期からの家庭環境や養育環境に問題がある場合、数十年の歳月をかけて心に刻み込まれています。
意識していない部分に気がつき、解きほぐされ、修正されていくには、それなりの月日が必要なのです。