内なる子どもの傷を癒す‥
アダルト・チルドレンを克服する

このページを見ている方は、おそらく自分がアダルトチルドレンなのではないかと感じておられるのではないかと思います。

アダルト・チルドレン(AC)とは、子ども時代に、親との関係の中で受けた様々なネガティブな影響によって、心に傷を負ったまま大人になった人々のことを指します。

本質的に言えば、親として未熟であったり、問題を抱えていたりする養育者から、十分な愛情や安心感を得られずに成長した子どもは、大人になってからも、様々な「生きづらさ」や心の苦しみを抱え続けてしまうことがあるのです。  

愛媛心理相談室には、私はアダルト・チルドレンだと自覚して来られる方、または精神症状や人間関係の悩みを相談に来られる方、その背景にはアダルト・チルドレンだと思える特徴を持っておられる方が来られています。


カウンセリングは、診断や治療といった医療行為を行うものではありません。

認知行動療法などの心理療法を用い、様々な問題で悩む方々に対し、ご自身の心と向き合い、不安のメカニズムを理解し、日常生活をより穏やかに過ごすための専門的なサポートです。 

アダルト・チルドレンの方々が抱えている苦しみや問題

アダルト・チルドレンとは、幼少期に過酷な家庭環境の中で育ち、その結果として大人になってからも精神症状、人間関係の課題、生きづらさ、世代間連鎖という問題を抱えている状態のことを言います。

どの問題が負担になっているかは人によって個人差がありますが4つのうちの複数の問題を抱えている方が多いと感じています。


【精神症状】
PTSD・抑うつ・不安症・強迫症・適応障害や解離性障害、パーソナリティー障害などが表れます。

【人間関係】
極端に人を避けたり、その反対に極端に人に依存をするなど、人との距離感の築き方が不自然であったり、安定した信頼関係を維持できない、お互いにとって有益な関係が築けないという問題を抱えています。

【生きづらさ】
自尊心の低さ、自己否定感の強さが特徴的で、自分の感情を自分で支えることや癒すことができないという特徴があります。

 自分に価値が感じられないため、死にたいという気持ちになることが多いため自殺を行う人もいます。


【世代間連鎖】
子どもができた時に自分が体験して辛かったことを自分の子どもに対して行ってしまったり、子どもの泣き声を聴いていると自分が責められている気分になったり、自分の子どもの頃を思い出して辛くなるという状態です。

【心の傷】は、目に見えにくい‥

アダルト・チルドレンの苦しさは、身体の病気のように明確な症状が出るわけではありません。だからこそ、「なんとなく生きづらい」「自分が弱いだけかも」と思い込んでしまいがちです。

でも、次のような特徴がある場合、それは心の仕組みからくるものかもしれません。

□ 人の期待に応えようとしすぎる

□ 断れない、頼れない、助けを求められない

□ 自分を責めるクセがある

□ 感情がわかりづらい、麻痺している

□ いつも不安で、リラックスできない

こうした状態は、「性格」ではなく「心の土台」に原因があることも多いのです。

アダルト・チルドレンの症状

自己肯定感の低さ ――

幼少期から、虐待や過干渉気味で育った子どもは、家庭の中にも居場所がないと感じるために、しばしば自分が「ここにいてもいいんだ」という感情を持つことが難しく、自己肯定感が低い傾向にあります。

例えば、仕事の中では「結果を出さないと自分がここにいる価値がない」と感じ、仕事で成果を出して初めて「自分はここにいても良い」と感じたり、逆に仕事で成果が出ない場合は「自分はここにいる価値がないんじゃないか」と感じ、精神的に不安定になったり、衝動的に退職をしたりすることもある場合があります。

人間関係の問題 ――

幼少期から、虐待・過干渉・複雑な家庭環境の中で育ったため、適切な親との関係を築けずに大人になった方が多いです。

特に幼少期の親との関係は、非常に重要で、その後の人生における友人関係や恋人関係など親密な人間関係の構築にも影響をきたします。

アダルト・チルドレンは、人間関係に支障が出やすく、仕事上の関係や恋愛などパートナーとの間で支障が出やすいことが考えられます。

心の病気を伴う場合 ――

アダルト・チルドレンは、幼少期から我慢を強いられて育ってきたところがあるため、社会に出てから人間関係や仕事などストレスを溜めてしまい、うつ病や適応障害など心の病気を発症する傾向にあります。 

【家庭環境】【親子関係】

アダルト・チルドレンのほとんどが、幼少期の親との関係に起因していることが多いです。 

精神症状、人間関係の課題、生きづらさ、世代間連鎖などの特徴、その他生活の中に表れやすい特徴が自分にも当てはまるという方は、下記2つのような家庭環境を体験している可能性があります。

虐待を受けて育った ――

私は家庭内での虐待を受けて育った人たちを数多く見てきました。

虐待とは、殴る、ける、叩くなど、身体的虐待や無視をする、理不尽なことで怒鳴られるなどと言った心理的虐待、食事を与えない、生活費を渡さないなどネグレクトがありますが、虐待を受けてきた人はそのどちらも、もしくはどちらかを受けている場合があるようです。

このような環境下で育った子どもは、親の顔色をうかがい、親の意向に合わせるように振る舞う傾向にあります。

そのため、自分の気持ちを押し殺して、過度に人に合わせてしまう傾向が身につき、大人になってからもその傾向が対人関係などでも現れやすいのです。

機能不全家族の中で育った ――

機能不全家族という言葉を聞いたことがあるでしょう。機能不全家族とは、本来家族が持つべき健全な機能が損なわれている家庭のことです。

虐待やネグレクトなどの目に見える問題がなくても、親の過干渉、無関心、感情的抑圧、過剰な期待などが原因で、子どもの精神的な成長が妨げられ、心の健康に悪影響を及ぼします。

虐待やネグレクト、親のアルコール依存症などによって家庭が崩壊している家族も機能不全家族ですが、一見、機能不全家族ではないように見えることもあります。

親の過干渉、親の愛情が条件付き、親子関係が過度にべったりで共依存関係、子どもを褒めない、など子どもが知らず知らずのうちにストレスや辛さを感じるような環境もまた、機能不全家族というのです。 

アダルト・チルドレンだと自覚している人の話をよく聴いてみると、家族の中で生じた葛藤を抱えたまま大人になっているという特徴があります。

そのため、親に頼りたい気持ちや自分を理解したい気持ちを持ちつつも、『親を許せない』、「親を愛せない」という気持ちも抱え葛藤しています。

克服の一歩は【気づくこと】から

アダルト・チルドレンを克服するプロセスは、自分に起きていることに【気づく】ことから始まります。

「自分はちゃんと育ってきたし、親に感謝してる」「こんなことで悩むなんて、甘えかもしれない」そんなふうに、悩みを打ち消そうとしていた方も多いかもしれません。

でも、「こんな気持ちがあったんだな」とか
「あの時、つらかったんだな」と認めてあげることが回復のスタートになります

自分の心に起きていたことを否定せず、そっと見つめることです。それが、苦しさから自由になる第一歩になるのです。

克服のプロセスでよく起きること

克服の過程では、一時的に気持ちが揺れたり、過去の感情が出てきたりすることもあります。

□ 本当は感じたくなかった怒りや悲しみが湧いてくる

□ 昔の記憶がふいによみがえる

□ 「やっぱり自分が悪いのでは」と思い直してしまう

こうした反応は、「心が動き出している証拠」でもあります。時間をかけながら、少しずつ感情と向き合い、心の安全基地を作っていくことが大切です。

心の傷を癒す5つのステップ

アダルト・チルドレンの克服には、決まった正解はありません。でも、多くの方が通っていく共通のステップがあります。


①【 気づく】
自分に起きていたことに意識を向ける

②【感じる】
抑えていた感情に少しずつ触れていく

③【手放す】
不要になった思い込みや役割をゆるめる

➃【つながる】
安心できる他者と本音で関わる経験を積む

⑤【選び直す】
自分の人生を「自分の意思」で選んでいく


このステップは直線的ではなく、行きつ戻りつを繰り返します。それでも、ひとつずつ進んでいくことで、「自分でいても大丈夫」という感覚が育っていくのです。

一人で抱えず、カウンセラーと一緒に心の整理をしていきましょう!

アダルト・チルドレンの克服過程は、時に孤独に感じられるかも知れません。でも、カウンセラーと一緒に心の整理をしていくことで、回復は加速します。

カウンセリングでは、あなたのペースを尊重しながら、思考や感情を一緒に見ていくことができます。

「何を話していいかわからない」「泣いてしまいそうで怖い」そう感じていても大丈夫。安心してくださね。

あなたの中に、変わっていく力はすでにあります。それを少しずつ取り戻していくための、優しいプロセスをご一緒できたらと思います。