
抑うつ・うつ病を改善(克服)する
【うつ病】は、今や誰もが知っている病名だと思います。職場の同僚や同じ学校の友達が「うつ病」になったという方も多いでしょう。
これだけ有名になったうつ病も、原因はいまだに解明されていないようで、脳の神経伝達物質の働きが鈍くなることや、大きなストレス、環境の変化などが重なって発病するとされています。
また、ストレスというのは、同じ出来事が起きても人によってはストレスと感じることもあれば、他の人はストレスと感じない場合もあります。
例えば、失恋や病気などは誰もがショックな出来事ですが、結婚や昇格など、喜ばしい出来事でも人によっては環境の変化についていけず、ストレスとなる場合があるようです。
うつ病になりやすい人はこういう人だと断定することはできませんが、真面目で責任感が強い人、周りからの評価も高い人がなりやすいと言われています。
周りからの期待に応えようと頑張り過ぎてしまうと、自分の許容量を超えても頑張ってしまい、心のバランスを崩してうつ病になってしまうことがあります。

【抑うつ】とは
抑うつ、うつ病になる原因としてはストレス、睡眠不足や過労などの生活習慣によるもの、また性格や考え方それに加えて生まれ持った遺伝的な要素など様々な要因が挙げられます。
抑うつとは、今まで当たり前のようにできていたことへの興味や意欲がほとんどなくなってしまうほどの絶望感や悲しみに持続的に陥っている状態を指します。
誰しも、辛い出来事によって気分が落ち込むことはありますが、数週間も数カ月もやる気が起こらない、少しの希望も感じられないという場合には、抑うつ状態に陥っている可能性があります。
抑うつ状態はうつ病などの気分障害の主な症状ですが、適応障害やパーソナリティ障害でもよく見られます。抑うつ状態にはしばしば身体的な不調も伴い、不眠や倦怠感、疲労感などの症状が見られます。
抑うつ状態かもしれないと思ったら、まずは医師の診断を受けることが最重要です。抑うつ状態を伴う精神障害の治療には、適切な休養、主に抗うつ薬による薬物療法、そして根本的な原因の解決や予防・ストレスケアなどの効果が期待されるカウンセリング(認知行動療法などの精神療法を含む)の3つを軸に進められていくのが基本です。
また、ショックな出来事があった時や、大きなストレスを感じた時、精神的な違和感を感じたら、カウンセリングを受けることによって抑うつ状態を伴う心の病を予防する効果も期待できます。
気分の落ち込みや意欲の減退などに気づいたら、一人で判断するのではなく、医師の診察を受けることをおすすめします。また状況によっては、うつ専門のカウンセラーに相談することも大切です。

【気分変調症(持続性抑うつ障害)】とは
気分変調症(持続性抑うつ障害)は、うつ病の診断基準を満たさない憂うつな気分が2年以上持続している場合に診断されることがあるようです。
やる気のなさ、無気力、悲観的、罪悪感、ひきこもりなどが症状として挙げられます。症状が慢性的で、自分は生まれつき不幸だと考えていることがあるため、本人は性格や気質の問題で治らないと思っていることが多いようですが、適切な治療を行えばよくなっていきます。
珍しい疾患ではなく、不安症やうつ病、依存症などの併発も多く見られ、なるべく早いうちに気づくことが大切です。 基本的には服薬による治療が多く取られますが、本人は疾患を受け入れられず、治らないと考えて治療に前向きではないことがあります。
また、自分の思考・行動パターンとうまく付き合うことや対人コミュニケーションを見直すことも大切であり、カウンセリングや心理療法によって治療を効果的に進めることができると考えられています。
カウンセリングで自分の気持ちを話すことで、人生に期待していることや自分の悪くないところに気づくことができるかもしれません。
うつ病になりやすい生活習慣
うつ病と生活習慣には密接な関係があると言われております。うつ病にかかりにくい生活として、①十分な休養、②3食の食事摂取、過度な飲酒を避ける、定期的な運動などの健康的な生活、③楽しみや、くつろぎの時間を大切にすることなどが重要であると言われています。
そのためうつ病になりやすい生活習慣として普段から無理をしており休みの日も十分な休養を取らず、常にエネルギーが不足した状態は続いている。
食事は不規則で食事も偏っており、過度な飲酒を繰り返し、運動不足な状態が続いている。自分なりの趣味や楽しみがなく、くつろぐ時間が取れない。等の行動がうつ病になりやすい生活習慣であると考えて良いでしょう。
こうやって考えてみると働き盛りの社会人の方は上記のような生活に当てはまる人が多いのではないでしょうか?

うつ病に対する基本的なアプローチ
カウンセリングを受ける前の準備としてまず、うつ病の症状を整理することから始めましょう。気分の落ち込み、興味の喪失、睡眠の問題、食欲の変化、疲労感などの症状について、いつから、どの程度の頻度で、日常生活にどのような影響を与えているかを具体的に記録しておくと良いでしょう。
例えば、「2ヶ月前から毎日気分が落ち込み、仕事に集中できない」「1ヶ月前から不眠が続き、朝起きるのが辛い」といった具合に、時系列に沿って症状の変化を整理しておけば、カウンセリングを受ける際に役立ちます。
うつ病の症状は時間帯によって変動することがあります。朝方に症状が悪化する場合や、夕方から夜にかけて気分が落ち込む場合など、症状の変動パターンをカウンセラーお話してみてください。
1.現状整理と抑うつの状態の確認 ――
【初回面接】では、気分の落ち込みが続く状況を整理していきます。抑うつの原因や影響を確認し、どのような時に悪化するかを探っていきます。
生活習慣や思考パターンの確認を行い、どこに改善の余地があるかを考えます。そして、不安やストレスの影響について整理していき、セルフケアの重要性を理解していきます。
2.思考の整理と認知行動療法 ――
【2回目~3回目】は、抑うつの背景にある考え方の癖(認知の歪み)を整理します。「自分を責める」「失敗を過大に捉える」などの思考を客観的に見直していきます。
自分を肯定するための思考トレーニングを行います。ネガティブな考えに囚われた時の対処法も学んでいきます。
3.行動の改善と生活リズムの調整 ――
【4回目~5回目】「やる気がない」「動けない」と感じるときの行動プランを作成します。認知行動療法での行動活性化の手法を取り入れ、小さな達成感を増やします。
生活リズムを整え、少しずつ活動量を増やしていきます。睡眠・食事・運動など、抑うつを和らげる生活習慣を取り入れます。
4.継続サポート・フォローアップ ――
【6回目以降】は、実践した対策の効果を振り返り、必要に応じて調整します。気分の波があっても、上手に対処できる力を育てます。長期的に安定したメンタルを保つための習慣を作ります。
5.認知・行動パターンの改善方法 ――
認知、行動のパターンに関しては認知行動療法など適切な思考パターンを行っていくことが重要になってきます。認知行動療法というと難しい方法のように感じるかもしれませんが、私たちは毎日の色々なストレスに対してそれを上手にかわしたり、生かしたりして生活しています。
その対応は人それぞれパターンがありますが、上手にストレスをかわせる人もいれば、ストレスをそのまま受け止めてしまいしんどくなってしまうような人もいます。しかしながらストレスに対応するパターンというのは意識をすることで身に着けていくことが可能です。
こういったパターンを意識して使っていくことで毎日の生活が良い方向に変わっていきます。認知行動療法はこういったストレスへの対応のパターンを身につけていくものになってきます。

【うつ病克服】カウンセリングって?
具体的に、カウンセリングではどのようなことを行っているのかお話します。基本的には、カウンセリングと心理療法をおこない、あなたの話を聴いていきます。
物の見方、受け止め方に癖がある場合、どのような癖なのか、どのような影響を及ぼしているか見つめていきます。心理療法のなかでも効果があることで知られている認知行動療法は、この物の見方の癖を改善するのに有効であると言われています。
例えば、うつ病の方は【完璧主義】で【真面目】なタイプが多いと言われていますが、まずその完璧主義のせいでストレスを強く感じていないか、簡易心理テストで自分を振り返ってもらいます。
そして、「完璧でいないと気が済まない」という自分の物の見方の癖を分析し、ストレスの原因となっている場合は、改善を促していきます。

大切なのは、自分自身で気づいていくことができるようになることです。カウンセラー側から「あなたはこういう人です」などと指摘することではありません。その指摘が、あなたにとって的外れの場合、カウンセリングが逆効果になる場合もあります。
ここでお話した認知行動療法は心理療法の一つにすぎません。どの人にもすべてに適用できるものではありません。相談の内容や課題によって、どのような心理療法を用いるかは変わってきます。ネットや書籍で調べて、「この○○療法をしてください」と依頼してくる方がいらっしゃいますが、それはおすすめできません。
心理療法は高度な専門知識を必要とする治療行為ですので、専門家以外の方が治療法を決めるのは、自分で心臓の手術の方法を決めるようなものです。
私たちが提供する心理療法が自分に合っているか合っていないかは、感覚的なものでよいのです。カウンセリングを受けることで、自分の変化を感じられるか。カウンセリングを今後も続けていきたいと思うか。など、自分の感覚を頼りにカウンセリングを受けていくのがよいでしょう。
違和感を覚える時は、正直に私たちに話をしてください。カウンセラーに気を遣う必要などありません。自分が話したいと思うことを、心を開いて話すことが、何よりのお薬になりますから。

主役は相談する側「あなた」にあります
大切なのは、あなたが自ら進んでカウンセリングを受けることです。最初は、「こんなことを話していいのだろうか」「こんな些細なこと、話すまでもない」「こんな話をしてどう思われるだろうか」など、いろいろな戸惑いや不安を抱えるはずです。
その不安は自然なものです。ですので、カウンセラーにその気持ちをそのままぶつけて構いません。そこから、カウンセリングが進んでいきます。
あなたがどんな話をしたとしても、私たちはあなたを否定することなど絶対ありません。もちろん、課題を一緒に解決するために指摘をすることはあっても、あなたを否定したり、人格や行動を非難することなどありませんので、安心してください。
今、抱えている課題を解決し、あなたらしく生きていくためにも、恐れずにカウンセリングに臨んでいただきたいと思います。あなたのためのカウンセリング時間です。その時間をどのように使おうと、あなたの自由なんです。ありのままの自分をさらけ出すことで、カウンセリングは深まっていきます。難しく考える必要はありません。

うつ病の人への接し方‥
抑うつ、うつ病の人と接する際には、言葉の選び方や態度に配慮が必要です。励ましや一般的なアドバイスが逆効果になりすることもあります。また、相手を追い詰めることもあります。
ここでは、うつ病の人との接し方で避けるべき対応について紹介します。
否定しないでください ――
抑うつ、うつ病の人は、自己否定の気持ちが強くなりやすく、周囲の言葉に敏感に反応します。そのため、「そんなことはない」「気の持ちよう」などといった言葉をかけると、やっぱり理解されていないと感じてしまい、さらに孤立感が強まる可能性があります。
本人が辛さを訴えた時には、正そうとするのではなく、「辛いと感じているんだね」と気持ちを受け止めてあげてください。否定するのではなく、共感する姿勢を示すことで、相手は自己否定や孤立感を強めずに済む可能性が高くなります。
叱咤激励は避けてください ――
「頑張れ」「もっと努力しなきゃ」といった言葉は、抑うつ、うつ病の人にとって大きな負担になることが多いのです。意欲が低下している状態では、頑張りたくても頑張れないため、励ましが逆にプレッシャーになりかねません。
また、「昔はもっとできていたのに」と過去と比較する発言も、自信を失わせる原因になります。大切なのは、無理に励ますよりも相手のペースを尊重し、負担のない範囲で支えてあげる気持ちが大切です。
個人的な経験に落とし込まない ――
抑うつ、うつ病は単なる気分の問題ではなく、脳内神経伝達物質のバランス異常が関与する疾患です。他人の体験談を受け止めようと思っても、疾患の特徴が原因で対応できず、負担になる恐れがあります。
「私も大変だったけど乗り越えた」「みんな辛いんだよ」といった言葉は、本人を追い詰めてしまうことがあります。自分が大変でも乗り越えられた経験を伝え、励ましたいという気持ちがあるかも知れませんが、あなたと本人の状況は同じではありません。あなたの言葉がかえって孤独感を強めることになりかねません。
個人の体験を基準にするのではなく、本人の気持ちを尊重し、比較しないようにしてくださいね。
偏見を持ってはいけません――
抑うつ、うつ病に対する偏見がどこかにあると、本人がさらに苦しむ原因になります。「甘えているだけ」「気の持ちよう」といった固定観念で接すると、理解してもらえないと感じ、誰にも相談できなくなる可能性があります。
また、精神的な病いに対する偏見は、回復を妨げる要因となります。抑うつ、うつ病は特別なものではなく、誰にでも起こりうるものです。偏見をなくし、正しい知識を持つことが適切な接し方につながります。

うつ病の人に対しての寄り添い方
うつ病の人と生活する際に、特別な対応をするのではなく、自然な関わりが大切です。ここでは、身近な立場の人が意識したい寄り添い方について紹介します。
本人が一番焦っているのです ――
うつ病の人は、自分が周りに迷惑をかけているという思いから、強い焦りや罪悪感を抱えていることが少なくありません。
そのため、無理に気持ちを切り替えさせようとせず、「辛いよね」「今はゆっくり休もうね」と、感情に寄り添った言葉をかけると安心感につながるでしょう。
特別扱いしない ――
うつ病の人に対し必要以上に気遣いすぎると、自分は普通ではないという印象を持たせてしまうことがあります。特別扱いされることで、かえって劣等感や疎外感を強めてしまうケースもあるため注意してください。
無理をさせないことは前提としつつも、あくまで対等な関係として接することで、相手に安心感を与えられます。
無理に励まさない ――
うつ病の人に対して「頑張って」「元気出して」といった励ましの言葉をかけると、気遣いのつもりでも逆効果になることがあります。意欲が低下している状態では、前向きな言葉が重荷になり、自責の念を強める原因になることもあるでしょう。
周りの期待に応えられないことに苦しんでいる場合もあるため、励ますのではなく、安心できて落ち着いた時間を過ごせる環境を整えるほうが心の支えになります。
再発に注意する ――
状態がよくなっても無理をせず、日常の中でストレスを減らす工夫を取り入れることが大切です。【うつ病は再発率の高い病気】として知られています。
症状が改善したように見えても、本人が無理を重ねたり、周囲が元の生活を求めたりすると、再び悪化する可能性があります。
感情の起伏が激しくなったり、疲労感を見せるようになったりした場合は、再発の兆候である可能性があるため、注意深く見守ってあげましょう。

終わりに‥
抑うつ、うつ病の人への接し方は、何気ない言葉や態度が大きな影響を与えるため、慎重に考える必要があります。何度もお伝えしたように、「頑張れ」などの励ましや否定的な言葉は避けてください。本人の気持ちを尊重する姿勢が大切です。
話を聞く時にはゆっくり耳を傾け、安心できる環境を整えてあげましょう。また、うつ病の人を支える側も無理をせず、自分自身の心のケアも大切にしてください。愛媛心理相談室では、うつ病の人だけではなく、ご本人を支えるご家族、周囲の人へのケアも同時に心がけています。
うつ病の人を長くサポートし続けていて辛い、適切なサポートの仕方が分からないなどのお悩みもご相談いただけますので、気になることがあればどうぞお気軽にご連絡ください。