抑うつ状態・うつ病を改善(克服)する

うつ病は、ストレスや環境の変化、脳の働きの乱れなどが重なって起こる病気です。 原因は完全には解明されていませんが、失恋などの悲しい出来事だけでなく、結婚や昇進といった「おめでたい変化」が負担になることもあります。

 特に「真面目で責任感が強く、周囲の期待に応えようと頑張りすぎる人」ほど、知らずのうちに限界を超えて心を病んでしまう傾向があります。 

誰もがなり得る病気だからこそ、頑張りすぎに注意し、心のバランスを保つことが大切です。

【抑うつ】【うつ病】になる原因

抑うつ、うつ病になる原因としてはストレス、睡眠不足や過労などの生活習慣によるもの、また性格や考え方それに加えて生まれ持った遺伝的な要素など様々な要因が挙げられます。 

抑うつとは、今まで当たり前のようにできていたことへの興味や意欲がほとんどなくなってしまうほどの絶望感や悲しみに持続的に陥っている状態を指します。

誰しも、辛い出来事によって気分が落ち込むことはありますが、数週間も数カ月もやる気が起こらない、少しの希望も感じられないという場合には、抑うつ状態に陥っている可能性があります。

抑うつ状態はうつ病などの気分障害の主な症状ですが、適応障害やパーソナリティ障害でもよく見られます。抑うつ状態にはしばしば身体的な不調も伴い、不眠や倦怠感、疲労感などの症状が見られます。 

抑うつ状態かもしれないと思ったら、まずは医師の診断を受けることが最重要です。抑うつ状態を伴う精神障害の治療には、適切な休養、主に抗うつ薬による薬物療法、そして根本的な原因の解決や予防・ストレスケアなどの効果が期待されるカウンセリング(認知行動療法などの精神療法を含む)の3つを軸に進められていくのが基本です。

また、ショックな出来事があった時や、大きなストレスを感じた時、精神的な違和感を感じたら、カウンセリングを受けることによって抑うつ状態を伴う心の病を予防する効果も期待できます。

気分の落ち込みや意欲の減退などに気づいたら、一人で判断するのではなく、医師の診察を受けることをおすすめします。また状況によっては、うつ専門のカウンセラーに相談することも大切です。

【気分変調症(持続性抑うつ障害)】とは

気分変調症(持続性抑うつ障害)は、うつ病の診断基準を満たさない憂うつな気分が2年以上持続している場合に診断されることがあるようです。

やる気のなさ、無気力、悲観的、罪悪感、ひきこもりなどが症状として挙げられます。症状が慢性的で、自分は生まれつき不幸だと考えていることがあるため、本人は性格や気質の問題で治らないと思っていることが多いようですが、適切な治療を行えばよくなっていきます。

珍しい疾患ではなく、不安症やうつ病、依存症などの併発も多く見られ、なるべく早いうちに気づくことが大切です。 基本的には服薬による治療が多く取られますが、本人は疾患を受け入れられず、治らないと考えて治療に前向きではないことがあります。

また、自分の思考・行動パターンとうまく付き合うことや対人コミュニケーションを見直すことも大切であり、カウンセリングや心理療法によって治療を効果的に進めることができると考えられています。

カウンセリングで自分の気持ちを話すことで、人生に期待していることや自分の悪くないところに気づくことができるかもしれません。

心にゆとりを持つよう心がける

うつ病は、日々のストレスや環境の変化、脳の疲れなどが重なり、心のエネルギーが不足してしまうことで起こります。

 悲しい出来事はもちろんですが、結婚や昇進といった「嬉しい変化」も、実は心にとっては大きな負担になることがあります。 

特に、いつも一生懸命で責任感が強く、周りのために頑張りすぎてしまう人ほど、気づかないうちに無理を重ねてしまいがちです。 

うつ病は、誰にでも起こりうる「心の風邪」のようなもの。だからこそ、時には自分を甘やかし、心にゆとりを持つことを大切にしてくださいね。 

うつ病に対する基本的なアプローチ

カウンセリングを受ける前の準備として、まずは今感じているお悩みを少しずつ整理してみることから始めてみましょう。

「最近、気持ちが沈んでしまう」「好きなことに興味が持てなくなった」「眠れない、または食べられない」「体がずっと重だるい」といった症状はありませんか?

こうした変化が「いつ頃から始まり」「どのくらいの頻度で起こり」「毎日の生活の中でどんな時に困っているか」を、思いつく範囲でメモしておくだけでも大丈夫です。

例えば、「2ヶ月くらい前から毎日気持ちが晴れず、仕事が進まなくて困っている」「1ヶ月前からぐっすり眠れなくなり、朝起きるのがとてもしんどい」といったように、ご自身のペースでこれまでの変化を振り返ってみてください。

また、心の状態は一日の中でも変化することがあります。「朝が一番つらい」「夕方から夜にかけて不安になる」など、時間帯による気分の波があれば、ぜひ私たちカウンセラーに伝えてみてくださいね。

言葉にまとめるのが難しい時は、箇条書きのメモを見ながら言葉にするだけでも十分です。ぜひ話してみてください。

1.現状整理と抑うつの状態の確認 ――

「初回面接では、心が沈んでしまう今の状況を、まずはゆっくりと一緒に整理していきましょう。悩みのもとになっていることや、生活への影響、どんな時に辛くなりやすいかなどを丁寧にお聞きします。

普段の過ごし方や考え方の癖を振り返りながら、どうすれば心が少しでも軽くなるかを一緒に考えていきましょう。不安やストレスが心身に与える影響についても確認し、ご自身を大切にケアしていくためのコツをお伝えします」。

2.思考の整理と認知行動療法 ――

【2回目から3回目】のセッションでは、心がふっと軽くなるような「考え方のコツ」を一緒に見つけていきましょう。つい自分を責めてしまったり、一度の失敗を「もうダメだ」と大きく捉えてしまったりすることはありませんか?そんな心の癖を、まずは「そう思っちゃうこともあるよね」と優しく客観的に眺めていきます。

自分を否定するのではなく、今の自分をまるごと認めてあげるためのトレーニングを、無理のないペースで進めます。もしネガティブな気持ちに飲み込まれそうになっても、上手に受け流して心を守るための「お守り」のような対処法も、ひとつずつ丁寧にお伝えしていきますね。 

3.行動の改善と生活リズムの調整 ――

【4回目~5回目】では、「やる気がない」「動けない」と感じるときの行動プランを作成します。認知行動療法での行動活性化の手法を取り入れ、小さな達成感を増やします。

生活リズムを整え、少しずつ行動量を増やしていきます。睡眠・食事・運動など、抑うつを和らげる生活習慣を取り入れます。

行動活性化のコツは、「気分」に合わせるのではなく「計画」に従って動くことです。ほんの少し動くことで、後から少しずつ「やる気」がついてくるのを実感してみてください。

4.継続サポート・フォローアップ ――

【6回目以降】からは、これまで試してきたことの変化を一緒に振り返ってみましょう。その時々の心の状態に合わせて、やり方を優しく整えていきます。気分の波に振り回されず、あなたらしく穏やかに過ごせる習慣を、ゆっくり育てていきましょう。

5.認知・行動パターンの改善方法 ――

認知行動療法と聞くと、なんだか難しそうに感じるかもしれません。でも実は、私たちは誰もが、日々のストレスを自分なりにかわしたり、力に変えたりしながら、毎日を過ごしています。

この「ストレスへの向き合い方」には、人それぞれ癖があります。しなやかに受け流せる人もいれば、真正面から受け止めてしまい、心が疲れてしまう人もいるでしょう。 大切なのは、この向き合い方のパターンは、意識することで後からいくらでも変えていくことができるという点です。

今の自分に合った新しい考え方のコツを掴むことで、毎日の生活はもっと楽に、心地よいものへと変わっていきます。

【うつ病克服】カウンセリングって?

うつ病のカウンセリングがどのようなものか、もう少しわかりやすくお伝えします。

まずは、カウンセラーがお話をゆっくりお聴きします。日々の生活の中で「なんとなく生きづらいな‥」と感じる考え方の癖があれば、それがどこから来ているのかを見つめ、心を整えていく時間です。

特によく使われる「認知行動療法」は、心の中を整理して、少しでも毎日を穏やかに過ごせるようにお手伝いする方法です。

うつ病に向き合っている方は、とても真面目で、誰かのために一生懸命になれる優しい方が多いんです。ですから、まずは簡単なチェックなどを通して、「少し頑張りすぎていないかな?」と、ご自身の心に優しく問いかけてみることから始めましょう。

「完璧でなきゃ!」という思いでパンパンになってしまった心を、ふっと緩めて、あなたがもっと楽に呼吸できるような考え方を一緒に見つけていけたらと思います。

一番大切にしたいのは、あなたが「あぁ、そういうことだったんだ!」と、自然に心で受け止められるプロセスです。

私たちが「あなたはこういう人ですね」と決めつけることはありません。もしその見立てが違っていたら、返ってあなたの心を傷つけてしまうかもしれないからです。

ここでご紹介した認知行動療法も、あくまで数ある療法のひとつです。悩みの内容や状況によって、一番しっくりくる進め方は人それぞれです。

最近はネットを調べて、特定の療法を希望される方も増えていますが、心のケアはとても専門的なものです。無理に決まった枠組みにあてはめるのは、自分で手術の方法を決めるような難しさがあり、私はあまりおすすめしていません。

今の進め方が自分に合っているかどうかは、「なんだかいい感じがする」とか「少しずつ変わってきたかも」という、あなた自身の直感を大切にしてほしいのです。

もし「ちょっと違うな」と感じたら、遠慮なく私たちに教えてください。あなたが心を開いて、話したいことを話すことが大事です。話す時間そのものが、何よりの「心の薬」になるのですから。 

主役は相談する側「あなた」にあります

最初は「こんなこと話していいのかな」「小さすぎる悩みかも」「変に思われないかな」と、不安になるのは当たり前のことです。そのドキドキした気持ち、そのままカウンセラーに伝えてみてください。そこから、ゆっくりと対話が始まっていきます。

あなたがどんなお話をしても、私たちはそのままのあなたを受け止めます。課題に向き合うためのアドバイスをすることはあっても、あなたを否定したり、責めたりすることは絶対にありません。

カウンセリングは、あなたのための、あなただけの時間です。かっこよく話そうとしなくて大丈夫です。ありのままの心で、自由に使ってくださいね。一緒に少しずつ、あなたらしい毎日を探していきましょう。 

うつ病の人への接し方‥

抑うつ、うつ病の人と接する際には、言葉の選び方や態度に配慮が必要です。励ましや一般的なアドバイスが逆効果になりすることもあります。また、相手を追い詰めることもあります。

ここでは、うつ病の人との接し方で避けるべき対応についてご紹介します。

否定しないでください ――

そっか、そんなふうに感じていたんだね。教えてくれてありがとう。無理に前向きになろうとしなくていいんだよ。今はただ、本当に辛いんだっていうあなたの気持ちを、一番大切にしたいと思っているよ。
と優しく受け止めてあげてほしいのです。 

叱咤激励は避けてください ――

「頑張れ」「もっと努力しなきゃ」といった言葉は、抑うつ、うつ病の人にとって大きな負担になることが多いので注意が必要です。意欲が低下している状態では、頑張りたくても頑張れないため、励ましが逆にプレッシャーになりかねません。

 また、「昔はもっとできていたのに」と過去と比較する発言も、自信を失わせる原因になります。大切なのは、無理に励ますよりも相手のペースを尊重し、負担のない範囲で支えてあげる気持ちが大切です。 

過去の自分と比較する言葉も、自信を損なう要因となりますので注意してください。今の状態をそのまま受け入れ、歩幅を合わせるような姿勢が、回復への何よりの支えとなります。

個人的な経験に落とし込まない ――

うつ病は、単なる気分の落ち込みではなく、脳のエネルギーが不足している状態です。そのため、周りの方の励ましを心の負担に感じてしまうこともあります。 

「私もこうして乗り越えたよ」とか「みんなも頑張っているよ」という言葉は、励ましたい一心から出るものですが、今はそれが本人を追い詰めてしまうかもしれません。

人それぞれ抱えている状況や辛さの形は違います。自分の経験と比較するのではなく、「今のあなたの気持ち」をそのまま受け止めることが、何よりの支えになります。 

偏見を持ってはいけません――

「うつ」に対する誤解や偏見は、本人をさらに追い詰めてしまうことがあります。「甘え」や「気持ちの問題」といった言葉は助けを求める声を遮り、心を閉ざさせてしまう原因になりかねません。 

うつ病は決して特別なことではなく、誰もが直面する可能性のある「心の休息が必要なサイン」です。まずは正しく知ることから始めてください。偏見のない温かな理解が、回復への何よりの支えになります。  

うつ病の人に対しての寄り添い方

うつ病の人と生活する際に、特別な対応をするのではなく、自然な関わりが大切です。ここでは、身近な立場の人が意識したい寄り添い方について紹介します。

本人が一番焦っています ――

うつ病の人は、自分が周りに迷惑をかけているという思いから、強い焦りや罪悪感を抱えていることが少なくありません。

そのため、無理に気持ちを切り替えさせようとせず、「辛いよね」「今はゆっくり休もうね」と、感情に寄り添った言葉をかけると安心感につながるでしょう。

特別扱いしない ――

うつ病の人に対し必要以上に気遣いすぎると、「自分はおかしいのではないか」、という印象を持たせてしまうことがあります。特別扱いされることで、返って劣等感や疎外感を強めてしまうケースもあるため注意してください。

無理をさせないことは前提としつつも、あくまで対等な関係として接することで、相手に安心感を与えられます。

無理に励まさない ――

うつ病の人に対して「頑張って」「元気出して」といった励ましの言葉をかけると、気遣いのつもりでも逆効果になることがあります。意欲が低下している状態では、前向きな言葉が重荷になり、自責の念を強める原因になることもあります。

周りの期待に応えられないことに苦しんでいる場合もあるため、励ますのではなく、安心できて落ち着いた時間を過ごせる環境を整えるほうが心の支えになります。

再発に注意する ――

状態がよくなっても無理をせず、日常の中でストレスを減らす工夫を取り入れることが大切です。【うつ病は再発率の高い病気】として知られています。

症状が改善したように見えても、本人が無理を重ねたり、周囲が元の生活を求めたりすると、再び悪化する可能性があります。

感情の起伏が激しくなったり、疲労感を見せるようになったりした場合は、再発の兆候である可能性があるため、注意深く見守ってあげましょう。

まとめ‥

うつ病の状態にある方と接するとき、何気ない言葉が心に深く響くことがあります。そのため、少しだけ接し方に気を配ってあげることが大切です。 例えば、「頑張って」という励ましや、否定的な言葉は、今はそっと胸にしまっておいてください。

本人の気持ちを尊重する姿勢が大切です。 話を聞く時にはゆっくり耳を傾け、安心できる環境を整えてあげましょう。また、うつ病の人を支える側も無理をせず、自分の心のケアも大切にしてください。

愛媛心理相談室では、うつ病の人だけではなく、ご本人を支えるご家族、周囲の人へのケアも同時に心がけています。 うつ病の人を長くサポートし続けていて辛い、適切なサポートの仕方が分からないなどのお悩みもご相談いただけますので、気になることがあればお気軽にご相談ください。